ショーン それは偽物だから ページ3
「ショーン」
ああ、きみのその声が愛おしいと思う時がくるなんて。
「とんだ自惚れだったね。所詮きみはその程度の人間だったってことさ……残念だったね」
吐き捨てるように言った僕の言葉に、きみの瞳が潤む。
頼むから泣かないでくれないか。
きみにそんな顔をされると、どうしていいかわからなくなる。
処刑台に立たされて、きみの肩が微かに震えているのが見えた。
その肩を、身体を、目一杯抱きしめてやりたいと思っても、そんなことは叶うはずもなく。
昨日まで当たり前に隣にあった体温は、たった数時間のうちに酷く遠くへいってしまった。
「ねえショーン……」
そんな声で呼ばないでくれ。
手を引いてしまいそうになる。
「嘘だって言ってよ、」
そんなの、言えるものならとっくに言ってる。
泣き出す寸前みたいに、きみの身体が一層震えた。
「っ嫌よ、だって私、…っ」
僕だって嫌だ。
どうしてあの日、軽率にもきみを選んでしまったのか。
「ショーン、」
ああもう、なんだい。
「…もう、目も合わせてくれないのね」
ギイイイッ
「っ、!」
吊り縄が吊り上げられる音。
ヒュッ、と喉が鳴る。
……もう時間だ。
「ショーン、私は本当に、愛していたのよ」
「……っ!」
偽物はきみの愛に魅せられて本物になった。
けれどそれに気付いたときには、もう遅くて。
「……明日は、俺を吊ってくれないかな」
せめて最後くらい、恨み言の一つや二つ言ってくれればいいものを。
僕がそちらに行けば、きみは笑ってくれるだろうか。
悪女ショーン×手玉
マイク 愛せないから触れないで→←ロディ あの笑顔が消えない
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作者名:sarry | 作成日時:2020年4月22日 16時