2話 ページ3
ロシアには初めて来たけれど、雪の匂いがなんだか懐かしくて、来るのが初めてじゃない気がしてくる。春が近いので雪はすっかりなくなっているけど、残った冷たい匂いがまだ瑞々しい。
私が感慨に浸っている中、隣のお母さんは到着したとたんにどこかへ電話をかけ始めた。
「ハーイ、ヤコフ。…えぇ、そうよ。今空港を出たところ。すぐにそっちへ向かうわ。…大丈夫よ、今は娘が免許取ってくれたから。……そう、私も楽しみにしていると伝えておいて。そういば、リリアは元気…って、あぁ、そうだったわね。はいはい、ごめんなさい。それじゃあね。」
電話を着ると、ふぅと一息つく。電話の相手はたぶんヤコフ・フェルツマン。母の昔馴染みの元夫。
「お母さん、電話終わった?」
「A!待たせてごめんなさい。ヤコフったらロシア人なのに変に真面目なのよね。いちいち電話寄越せ、だなんて。リリアのことだってま〜だ気にしちゃってるし。結局あの2人はいつまでたってもお互いのことを気にしてるのよ。そうそう、この前だって…」
「あーー、お母さん。もうそろそろ出なきゃ。車12時までに返さないとなんでしょう?」
「あらごめんなさい。またママの悪い癖が出ちゃったわね。さあ行きましょう!」
そう言って颯爽と歩き出し、友人から借りておいたという車に乗り込む。
運転するのは私なのに、こんなに高級そうな車借りるなんて……!!(お母さんは運転ができない。)
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作者名:マイクロメーター | 作成日時:2017年3月4日 15時