【銀魂】逃げた子兎、支配する兎 6【神威】

7 ページ8

だってつまり、今の彼らは結婚相手の職業として不動の人気を誇る 公・務・員！

銀時が懸念していた血みどろ云々も解決しているから問題なし。

つまり、銀時にはこれ以上文句のつけようがないということ。

「Aのことは、まかせて下さい。僕が責任をもって幸せにしますから」

そう沖田に好青年スマイルで言い切られて、
ぐぅ、と銀時はうなるしかなかった。




あの後はというと、各々仕事に戻るやら急な呼び出しやら用事やらで散り散りになって
新八は1人茫然自失で町中を歩く。

たかが2年、されど2年。

行き交う人々も町並みも、全部が新八の知らないものになってしまったようだった。


「あ！ SIN様だ！」

「ああ、アンタが最近ハマってるとかいうV系バンドのボーカルだっけ？」

流れ出した音楽と、目の前で唐突に立ち止まった女子2人組の行動につられて、
新八も覇気なくビルの壁上部に取り付けられた巨大モニタを見上げる。

『♪壊シテ壊レテ 疼ク傷痕が刻むCrime(罪)♪

漆黒ノ獣 Newシングル “傷痕ト罪”
Now on sale』

「やーん、いつ見てもカッコいい〜！！」

「確かに、整った顔してるよね。
でもさぁ、このSINって指名手配されてたテロリストの高杉晋助って噂だよ？」

「えー？ そんなふつーじゃないアウトローな感じもSIN様の魅力の一部だよぉ。
ちなみにキメ台詞は
“ブッ壊してやろうか……お前も、世界も”
なの！」


例え、最も過激で危険なテロリストとして指名手配されていた高杉晋助が、人気急上昇中のヴィジュアル系バンドのボーカルになっていたとしても。

もう新八にはツッコミどころか声を張る気力さえ残っていない。


もう……いいんだ……受け入れるしかない。変わってしまったことを。置いていかれたことを。

ここは……2年後の世界なんだってことを。

巨大モニタが切り替わり、奇抜な化粧と出で立ちの高杉(仮)から、
真面目そうで表情を引き締めたアナウンサーが映し出される。

「News速報をお伝えします。
現在江戸に蔓延し始めた謎のイボによる被害が拡大しております。

このイボは正式にはイボでなく寄生型エイリアンであり、
宿主に寄生後二三日あまりで成体になり、そこから五日程度で宿主と全く瓜ふたつに成長

宿主に完全に成り代わり独自の進化を始め
1週間で2年相当の成長を遂げます」

…………。
………………。




「受け入れ……られるかァァァ！！
結局全部、イボじゃねーかァァァァ！！」

8→←6

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す