【銀魂】逃げた子兎、支配する兎 6【神威】

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少しの逡巡の後、口を開く。

「……そうじゃなかったら
告白みたい、アル」

それを聞いて沖田がフハッと息をもらしたから、ほらまさかそんなワケないアルと笑い飛ばそうとして

「よく分かってんじゃねェか」

「―――え？」

笑みになりきれない曖昧な表情のまま、固まった。

「そんなこと1ミリ足りとも思いによらねェ、なんつーパターンも予想の内にあったんでね
お前の鈍感さもどこぞのハーレム物主人公レベルにまでは至らなかったようで安心したぜ」

「そりゃよかったアル……？」

咄嗟に返した言葉の何がよかったのか、そう聞かれてもAは答えられないだろう。

「これからのことを都合よく聞こえなかったり、謎変換されたりで
最終的に“気づかなかった、だからこれまで通り”にでもされちゃたまんねーんだわ」

降ってくる言葉の数々と、この展開への理解がとても追いつかない。

ただ、“これからのこと” この言葉に、Aの鼓動がドキ、と跳ねた。


「何が、“1番の友だち”でィ、バーカ。
ただ、俺ん中での1番っつーとこは認めてやらァ。
こんな女、他にいるワケねェよ」

らしくもない沖田と、この空気、そして頭で理解するよりも早く届いた予感。

Aの鼓動は、より早さを増していく。
　

「ちょ……ちょっと待つアル……」

「待たねェ。
こっちは覚悟決めてんでィ、逃げねーで聞きやがれ」

思わず上げた静止の声も、それ以上は続かなかった。


「A」

沖田は名前を呼んで、それで。



「お前のことが好きだ」



それは正真正銘、沖田からの告白だった。

Aの頭には、以前の妙とのやり取りが蘇る。

『でも、デートってただ2人で遊ぶだけアルな？』

『沖田さんの方は、それだけとは思ってないかもしれないわね』


*


何か言わないと、そう思うのに喉の奥まで硬直してしまったかのように声は出なくて。

沖田はそんなAの頬をむに、と片手で掴む。

「まぬけ面」

そう言って、クっと笑う沖田。

その途端、Aの顔が火を出す勢いで赤くなった。

「お」

「へ、あ……ひゃにするアルっ」

自分でもそのことに気づいたAが、頬を掴む手と向けられる視線から逃れようとそっぽを向く。

ここまではっきり言われて、友達としてだろう、なんて勘違いはとてもできやしない。

あの沖田から好きだと言われている。

そのことを完全に理解した瞬間、
驚愕 戸惑い そして何より言葉にならない気恥ずかしさが急速にこみ上げたのだ。

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