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粗方の乗り物を乗り終えた頃には、辺りが薄暗くなり始めていた。

「暗くなってきたアルな。
……あ! みて、そーご!」

その言葉が合図だったかのように、
各アトラクション、園内の木々、様々な箇所に一斉に灯りがともっていく。

たくさんの色を持つ光の粒はまるで宝石のようで、それらがひしめき合い夜闇を照らす様は圧巻だった。

「ここはこのイルミネーションが有名らしいぜ」

「きれーアル……」

その光景を見つめて動かないAに、沖田も付き合う。


「……夜にも、光はあるアルな。
これなら夜兎がいくら浴びてもへっちゃらアル」

Aがそう、呟く。

それが太陽とは違う、人工的な輝きだとしても。
夜にだって、こんな綺麗なものが見られるんだよって、教えてあげたかった。

―――神威。

お前は何も知らなくていいと、優しく囁くあの腕の中にいたままでは見ることのできなかった光景のひとつ。

そしてまた神威の元へ戻った時には、次見られるのはいつになるか、いやもう一度見られるかも分からない かけがけのない瞬間だった。

そんなAの横顔を、沖田は黙って見つめていた。



「……さっ、これからどうするアルか?
まだ乗ってないヤツってあったっけ」

パッと沖田の方を向き、努めて明るくAは話しかける。


少し間をおいて、沖田は指をさした。

「じゃあ、アレ」

その先にあるのは、一面ライトアップされ常より存在感を増した、巨大観覧車。

いいアルなとAは同意して、すぐに乗り場へと足を進める。

係員の誘導に従って2人とも乗り込み、空の旅が始まった。

「すごいアル〜!
もうあんなに下の人たちが小さいネ!」

「人がゴミのようだ、ってか」

Aは椅子の上に膝立ちして下を覗き込み歓声をあげ、向かいに座る沖田も頬杖をつきながら上昇していく景色を眺めている。

俯瞰的に見下ろすことのできるイルミネーションはまた格別で、Aは飽きもせずその輝きを眺めていたが
頂上を越えしばらくすると、前を向き座り直した。

「今日は、すっごい楽しかったアル」

沖田も、窓の外に向けていた視線を前へ戻す。

「そりゃ光栄でィ」

あれが楽しかったこれも楽しかった、あれは美味しかったワクワクした。

Aは今日を振り返って思ったことを身ぶり手ぶり混じえ沖田へ伝える。

いつもなら何か余計な口を挟んできそうな沖田も、ただ黙って相槌代わりに時折頷きながら、その話を聞いていた。

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設定タグ:銀魂 , 神威 , 成り代わり   
作品ジャンル:恋愛
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ぽてうさ(プロフ) - ゆるさん» ありがとうございます!!書いててよかったってなる嬉しいお言葉です(*^^*)近い内に続編も公開予定なので少々お待ち下さい! (2020年5月2日 11時) (レス) id: d2b650a918 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - すっごく面白いです!早く続きが読みたいです!更新頑張って下さい!応援してます♪ (2020年5月1日 11時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
ぽてうさ(プロフ) - ついに総悟さん行動にでました(°口°)こちらこそありがとうございますです_|\○_ 作者としては優しい沖田総悟を書くのが難しくて苦労してます笑  (2020年4月7日 23時) (レス) id: d2b650a918 (このIDを非表示/違反報告)
鈴音(プロフ) - 総悟ぉぉぉーーーーーΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)すみません荒ぶりました← 何だろう…何か…もう…ほんとありがとうございます(((語彙力 (2020年4月7日 21時) (レス) id: 737011c58c (このIDを非表示/違反報告)
ぽてうさ(プロフ) - 至恩さん» 久しぶりとなってしまった更新で、こんなコメント貰えるなんて本当に嬉しくて続きを書くモチベがぐんぐん湧いてきます!ありがとうございます(●´ω`●) (2020年3月14日 23時) (レス) id: d2b650a918 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽてうさ | 作成日時:2019年2月6日 19時

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