【銀魂】逃げた子兎、支配する兎 6【神威】

子兎からみんなへ ページ1

拝啓、銀ちゃん
　 新八
　 そーご
　 トシ
地球のみんなへ



お元気ですか？

銀ちゃん、また苺牛乳ばっかり飲んでとうとうトーニョー病になってないアルか、ご飯は食べれてますか、
また定春のご飯ごーだつするのはダメアル。

新八は……うーんと……眼鏡。

トシもニコチンコ依存症は相変わらずですか、たまには煙草じゃなくてチュッ○チャプス咥えるヨロシ。

そーご、……答え、返せなくてゴメン。

私には、みんなの今を
見ることも聞くこともできないから
せめて心の中で、届かない手紙を書くヨ。


私がここにきて、みんなと離れてどれ位が経つんだろう。
ここにいると、時間の流れがどんどん分からなくなっていくネ。
……ううん、チガウ、 “戻っていく”んだ。
これまでに。


最後に、何も言わずにお別れしてゴメンネ。
みんな、怒ってるカナ、心配されてるカナ、
それとも案外私のことなんて忘れて、ケロリとしてる？
……もしかしたら、悲しんでたり、するアルか。

そうだとしたら、もう一回
ごめんなさい。それと、アリガトウ。

私はもう戻れないケド
万事屋の一員になって、
貧乏でも一緒に食べるご飯の美味しさも、依頼で街中掛け巡る自由さも、
えっとあとは野良猫のフンと犬のフンの見分け方とかも色々なことを知れました。

マヨネーズの無限の可能性も、喋るゴリラがいることも、お日様の下でみんなと笑っていられることの幸せさも
全部全部、地球に来なければ分からないことでした。

あ、そーごの出身地サディスティック星っていうのも、行ってみたかったアルなぁ。


地球に来て、みんなと出会えてよかったネ。

私に“思い出”をくれてアリガトウ。
ぜったい、ぜったい忘れないアル。




でもね、ほんとうは、





「随分大人しくなっちまって、
これじゃ本当に今にも拐われちまいそうなかぐや姫だなァ」


ぼんやりと降り掛かった声を追い、顔を上げる。
その拍子にジャラ、と擦れ合う金属音。

「まァ、こっちの帝も姫さんを月へ帰すつもりは更々ねェようだがな」

随分立派な牢獄だ、男は包帯に隠れていない片目をクッと細めて笑う。
向かう視線の先は、座り込む子兎の首元

―――そこに嵌められた頑丈な首輪、そこから長く繋がる鎖へと。



「ただいま、A。
イイコにしてた？」

それから 現れたのは、
Aの兄であり、飼い主であり、
そして全てである


「……神威」




―――『さよなら、地球のみんな。』

人は変われるんだ！（ただし必ずしもそれが良い方にいくとは言ってない）→

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