第170話 ページ31
そんな彼が、まさか三日月の手綱制御要員だとは思わなかったけど…
というか、ここまで制御が必要だと認知されてる三日月って何をしたんだ…?段々不安になってきたな…
けれど今はそれについて深堀している暇はないので、骨喰を加えた四振りを政府突撃部隊とし、それ以外の男士はこの本丸の守りに徹するよう指示を出して、僕は袴姿からスーツに着替える。
白衣と袴は確かに動きやすいけれど、やっぱりスーツの方が慣れてるんだよね。
何があるかわからないから、念のためいろいろとお札も準備しておく。
同室の長義も戦装束に着替え終わったのを確認してから、政府突撃部隊と澪ちゃんと共に転移門に向かった。
「清光!」
こんのすけに頼んでゲートを起動してもらい、転移先を時の政府中央軍部に設定してもらっていると、大和守が加州に駆け寄った。
「次は、絶対に戻ってこいよ」
「はは、わかってるって。お前の方こそ、本丸を頼んだからね」
ごち、と二振りで拳を突き合わせる。
…何があっても、彼らをここに帰らせなきゃ。
胸元のお守りを握りしめ、深く息を吸い込んだ。
「──これより、中央軍部討伐課所属、第一班班長、椿の救出に向かう!開門!!」
高らかに宣言すれば、大きな転移門は音を軋ませ、ゆっくりと開いていく。
それが開き切るのを待ってから、僕たちは淡く虹色に光る門の中に、足を踏み入れた。
***
転移門をくぐり終えると、すぐ目の前に見知らぬ平野藤四郎と今剣が待ち構えていた。
「ッ!?」
「時雨様ですね。僕たちは澪様の御付きとして参りました」
「あ、あぁ…澪ちゃんのところの」
「何々?あっ、いまつるに平野!あれからどうなった?」
「あるじさま!ひとまずこっちにきてください」
僕に続いて転移門をくぐって来た澪ちゃんを見つけると、二振りは周囲を警戒しながら僕たちを物陰へと誘導する。
どうやら元々澪ちゃんは長谷部と今剣、平野を伴って政府に来ていたが、椿さんが逮捕されたため、そちらの監視を短刀の二振りに任せていたらしかった。
そんな彼らに誘導された僕たちは、緊迫した表情の二振りに嫌な予感を抱いて息を呑む。
「じつはあれから、ずっとせいふしょくいんのどうこうをかんししていたのですが…まずいことになってしまいました」
「不味い事…?」
「はい。時雨様が、椿様の仲間であるとされ、現在政府の討伐課が本丸の差し押さえに動いております…!」
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作者名:寒蘭 | 作成日時:2023年12月2日 0時