剣~つるぎ~

陸の伍 ページ29

その手が僕の目の前にくると、涼介が助けてくれた



知念「涼介…」



山田「…逃げられた。



知念…あぁ、怪我したね」



涼介は血の滲んだ包帯をみる



知念「…天殺。



それがあの妖怪の技らしい」



僕は涼介の肩を借りて帰る



山田「…その姿だと花魁の前には出れない。



花魁は美貌にうるさいから…」



伊野尾「あら、大丈夫？」



そこにいのちゃんがやってきた



山田「はぁ？



普通、花魁って…」



伊野尾「私は普通じゃないの。



それよりもこれ」



いのちゃんは懐から塗り薬を出した



伊野尾「傷口見せてもらってもいい？」



知念「…はい」



僕は服を脱いで傷口を見せる



伊野尾「【妖怪斬り】さんって大変なのね。



少し沁みるよ」



いのちゃんが傷口に塗り薬を塗る



…かなり沁みて痛い



伊野尾「はい、これで良いと思います。



おそらく…数日後には治っているでしょう」



知念「…ありがとうございます」



中島「いのちゃん、呼ばれてるよ」



確かに遠くからいのちゃんが呼ばれている声がした



伊野尾「あら、もう行かなくてはならないのね。



ふふ、本当に今日は楽しめたわ」



いのちゃんは立ち上がって帰っていった



知念「…僕たちも帰ろっか」



僕は涼介の肩を借りて、圭人は裕翔に背負われながら帰っていった

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