【d!】私に逢いに来てください【短編集】 (ページ5)

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歩道橋の君＿sha＿シアンページ5

「あ、Aさんおはよー！！」

「あ、えっと……」

だめだ。声が出ない。そう思って急いでお辞儀をする私。

恥ずかしい。せっかく話しかけてくれたのに。顔が真っ赤になった。

私は所謂あがり症だ。

これはとっても厄介なものでクラスメイトに挨拶して貰っても緊張で声が出なくて返せないし、授業では声が小さ過ぎて何回も繰り返される。

それに、好きな人に声をかける事も出来ない

通学途中にいつも同じ歩道橋ですれ違う男の子。
ジャージにうちとは反対方向にある高校の野球部の名前が書かれていた。
それにシャオロンくんと言うのだろうか。名前も書かれていた。きっと、朝のロードワーク中なんだろう。

毎朝欠かさず走ってる姿がかっこ良くて。

だから私は毎朝早く起きて彼とすれ違えるようにしている。
おはようっていつか言うために。

そして、次の日もやっぱり彼はいた。
走ってるんだから端に寄らないと、そう思っていたのに、足を踏み外す。

「きゃっ」

そのまま下に落ちると思い目をぎゅっと瞑るがガシッとつかまれる

思わず抱きしめられている形になってることに気づいて顔が赤くなった。

Sha「気をつけてな！危ないで」
「あっ、あり……」

相変わらず言葉に出来無い。
すると、彼はまた走っていってしまった。

助けてもらったのにお礼も出来ないなんてっ
自分が心底嫌いになった。

そして、次の日。なんだか彼に合わせる顔がなくて歩道橋を渡るのをやめた。

下の歩道から見上げてみる。彼は今日も走ってるのかななんて思いながら。

すると、彼の姿が見えてぱっと目があってしまう。
彼はすごい勢いで走ってきた。

Sha「なんで、今日はこっちだったん？」

あまりのことに驚きを隠せない

Sha「い、いや毎日歩道橋ですれ違ってたし

っていうか、毎日すれ違ってくれないと調子出ないんよ……」

照れ臭そうに頭をかきながらいう彼にわたしも恥ずかしくなって顔から湯気が出そうだ。

そうだお礼するなら今しかない。

「き、昨日はっ！！ありがとうございました」

すると、彼はニッと笑って言う。

Sha「気にすんな！じゃ、じゃあまた歩道橋で」

それから学校に着いた私は机に突っ伏す

今日初めて話せちゃったな。
嬉し過ぎて足をバタバタさせた。

よし！今度は絶対にわたしから話しかけよう

あがり症のわたしの初めての目標だ。