【d!】私に逢いに来てください【短編集】 (ページ4)

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恩返し＿Ut＿鶴　※死ネタ　※ヤンデレ(？)注意ページ4

『うわ～！屋上来るの久しぶりだね～。』

Ut「せやなぁ。」

『んじゃご飯食べよ！』

私と鬱君は、いつも屋上でご飯を食べている。
まぁ最近は雨で全然来れなかったけど...。
私達は屋上にあるベンチに座って、適当に会話をする。
...まぁ鬱君が彼女とどうとかしか話さないけど。
今日も鬱君は頬をさすりながら私に泣きつくのだ。

Ut「はー、さっきゆみちゃんに振られたわ。もう俺ﾀﾋにたい...。」

『あー、あの子？』

Ut「せや。...あー、こっから落ちたらﾀﾋねんのやろな。」

どうやら彼女たちの中で一番愛があった子に振られたらしい。
全く、女たらしなのは変わらないな...。
そんな鬱君の手を引っ張って屋上の端までやってくる。

『まぁまぁ。ほら、景色でも見ようよ！』

Ut「Aちゃん、此処好きよなぁ。」

『うん、景色が良いからさ。ねぇ、覚えてる？中学の時の事。』

私がそう言うと、鬱君はあ～、と思い出したかのように言う。
...覚えててくれてるんだ。
私は、中学の時に過激な嫌がらせを受けていたのだ。
その時の私は一人で、誰も助けてくれる人はいないって思ってた。
しかし、そんな世界から救い出してくれたのは鬱君だった。

―――Aちゃんは一人じゃないで、俺が居るからな？

あの時の言葉を、よく覚えている。
あの時、鬱君が私の背中を押してくれたから私は嫌がらせにも立ち向かえた。
私を救ってくれた鬱君に、恩返ししてあげたい。
鬱君の背中を押してあげたい。

『鬱君、あの時はありがとう。』

Ut「ええんやで？Aちゃんの為やしな。」

『私、鬱君に恩返ししたいの。』

そう言って、ﾄﾝｯと鬱君の背中を押した。
ふわりと宙に浮いた鬱君が驚いた顔をしながら私から離れていく。

『...あ。安心してね？鬱君を一人にはしないから』

そう言うのと同時に私の体は宙に浮く。
そしてそのまま鬱君に抱き着いた。
段々と時間がゆっくりになっていくような感覚を覚える。
私は、自分にも隠していた本当の気持ちを彼に伝えることにした。

『ふふ、これが私の恩返し。好きだよ、鬱君。』

Ut「っは～...ほんま最高やわお前。」

『あなたがあの時私の背中を押してくれたからだよ。』

段々と地面が近付いていく。...私も鬱君も、笑っていた。
そのまま二人で抱きしめあいながら、優しくキスをする。
―――頭に当たる地面の感触と共に私達の意識は途切れた。