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ずっと、違和感があった。
テレビで流れるニュースを見るたびに真綿で首を絞めるような重圧がしていた。倫理の授業を受けるたびにガラスに水を張り続けてそれがあぶれる時の波紋が心に移った。どうしてなのかわからなくて、当然の混乱と自分のものではないような狂気に心が食い破られそうな感覚。
夜が回れば朝が来るように、そんな日々にも終わりは必ず訪れる。心が焼き尽くされるような矛盾から、夢幻から覚めるように。シャボン玉が音を立てて弾けるように。
それと同時に、自分の知らない部分が羽化するように、「私」は目を覚ました。
目覚めたタイミングは最悪だったが。

状況を整理しよう。
まず、誘拐事件を起こしたのはおそらく大金と権力を持った特殊性癖を持つ爺。誘拐されたのは12歳から25歳前後の、大人しげではあるが清楚で男たちからしたら屈服させたいと思うのだろう加虐を刺激する特徴を持った女性たち(そこに自分を含めるかはさておき)。そしてそれを手引きしたのは半グレ集団か、それともヤクザ者、いやマフィア?わからないことが多いが、先ほどからじっとりとした下心を隠さない目線で見てくる輩は日本人がほぼなことを考えると、日本の裏組織になるのだろう。
少ない。わかってはいたことだが、あまりに情報が少なすぎる。せめて、有体に言えば前世と呼ばれる記憶を誘拐される直前から覚えていたなら、とあり得ない事象を思って小さく舌打ちをしたくなった。しかしそれでは自分がわざわざ媚を売ってまであの部屋から出てきた意味がなくなる。全部パァだ。それだけはごめん被りたい。あの金糸雀の鳥籠のような部屋に取り残された女性たちを思い返すと、そのような失態はできないのだ。
昔は、そんなことを思うことはなかったはずだ。しかし、現在の私はただの女子高生として日々を過ごしたと言う記憶が染み付いている。だからこそ、これから行うことを躊躇い、「私」がしてきたことに見て見ぬ振りをしたくて、私が「私」のためにここから飛び出すことを否というのだ。
全く、碌なものじゃない。これでは到底殺し屋としては生きていけない。綿飴のように儚くて、キャラメルほどに甘い考えだ。こんな理想主義者の机上の空論が思考の海に出てくるなどと、と内心せせら笑う。

3→←第一章【部外者は舞台に上がる】



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米の磨ぎ汁※低浮上(プロフ) - 面白い内容で惹き付けられました。ところでこの物語は名前固定なのでしょうか?名前固定では無いのなら名前変換が出来ません。 (2022年10月31日 19時) (レス) id: f1886f3e92 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:プロシオンの烙印 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/6zp7JIEaL24NfiM  
作成日時:2022年10月5日 18時

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