許容は求愛の色に似ている ページ21
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今までの生活で見たこともないような複雑な綾が、天使の透き通った虹彩に踊る。美しく、それでいて愛しくなるような優しい色だった。
思わず見惚れていると、天使がそっと柔らかく腕を解いて起き上がり、後ろを向く。そうしてピッタリと着こなしていた神官服を緩めていく。唐突な行動。困惑に瞳を歪めて、ふと、視界を掠めた「白」に目を皿のように見開いた。
それは、翅だった。今まで傷ついて痙攣し、軟く閉じられていた天使の、翅であった。
かの者の翅は、広げられると本当に大きい。そのかちりとした背から生えているダイナミックなそれは石膏細工のような冷たい優雅さすら感じさせるのに、細かに見える翅の一つ一つが柔らかで、暖かく、そして生的な雰囲気が強い。人間の言語では到底表しきれないような、そんな翅だった。……美しい、天使の翅。
ぼんやりとその白を見つめると、包帯が巻かれている場所を差し出されていることにようやく気づいた。これは、今なら取り替えて良いぞ、ということなんだろうか？どういう心算かはわからないが、おそらく大事なものであろう翅を差し出すことを天使が許容してくれているのは、十分伝わってくる。
「あ、ありがと……」
「ーーーー」
きしるような雨音に似た声が土に響くように降ってきた。おそらく、触って良いぞ、ということなんだと思う。慌てて包帯を探し出し、付け替えることにした。
その慌てように天使が少しだけ、少しだけ笑う音が聞こえた気がした。
天使の傷跡は、まだ痛々しく残ってはいたものの。化膿などはしていなかった。それに安堵しながら巻き終える。
「ありがとう、終わったよ」
そう声をかけると、ぴんと翅を跳ねさせていそいそと神官服を着ていく。なんだか子供みたいで可愛いな、と笑みが漏れてしまった。
「またしばらくしたらかえるから、その時はよろしくね」
「……」
「天使？」
じっと食い入るように見つめられてたじろぐ。天使はその飴色を細めながらも、視線だけは逸らさない。よく見られるのは慣れているが、それでもまっさらな視線を向けられるのはどこか居心地が悪くてそっと瞳を泳がせる。
ふ、と目の前の生き物から息が漏れた。
「ーーーーー」
「？」
「ーーーーーーーーーー」
「、ぁに？」
「……ーーー」
「えっと、？」
何かを訴えているのはわかるが、何を言いたいのかさっぱりだったけれど。
何かを囀るその自然の音は、まるで愛を囁く駒鳥に似ていた。
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利き手(プロフ) - ずぎ......ずぎ.........なんかもう言葉で表せられないほどすきです......更新待ってます........... (4月25日 18時) (
レス) @page26 id: cb93d75c77 (このIDを非表示/違反報告)
、 - この作品に一目惚れしました！！！更新頑張ってください！待ってます！！ (6月11日 22時) (レス) id: b2a72ce1c2 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - コメント失礼します。少し前から拝読しているのですが、仕草や声の一つ一つに自然の意思が宿るような、人ならざる描写が美しく、惹きつけられました。今後二人がどのように交流していくのかが楽しみです。どうか作者様の無理の無い範囲で執筆頂ければ幸いです (2023年4月22日 2時) (レス) @page24 id: 9675cfd2c8 (このIDを非表示/違反報告)
ある(プロフ) - 更新本当にありがとうございます！！ずっと楽しみにしておりました、作者様のペースで進めて頂けると幸いです！ (2023年4月21日 23時) (レス) @page24 id: 7187551de4 (このIDを非表示/違反報告)
ペペロンチーノ（25）(プロフ) - 更新待ってます！ (2023年4月16日 15時) (レス) @page23 id: c1a1942ea9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：プロシオンの烙印 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/6zp7JIEaL24NfiM
作成日時：2022年10月3日 16時
