心機一転 ページ7
結弦side
ハビ「ところで結弦、プルシェンコの事で旅してるって本当なの？」
自分への不甲斐なさに悶々としていたら、ハビから突然発せられた質問に驚愕した。なんで知ってるんだよ！？
ハビ「声に出ちゃってるよ苦笑」
結弦「あ！ごめん汗」
さっきから動揺しすぎだわ、やべーな俺。
ハビ「ふふふ。ちょうど1年前、氷の巫女にプルシェンコが直接お告げに来た！ってサイショー中が大騒ぎだったんだよ」
そうだったんだ。そういや俺、国境側から旅に出たからなー
ハビ「本来のこの街に来る目的はそれでしょ？手紙が届くまで1時間はあるし、もしよかったら今からプルシェンコを祀っている場所に案内するよ？」
結弦「ありがとう、是非お願いします」
ということで、プルシェンコが祀られてるという“救いの井戸”に案内してもらうことになった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
救いの井戸は、街や大きな村から少し離れてるのもあって知ってる人は少ないらしく、俺も子供の時に勉強で使っていた本でその名前を見た、ような気がする………。という感じだ。
(救いの井戸に到着)
結弦「…………これ、井戸というより泉じゃない？」
ハビ「んー詳しいことは分からないんだけど、エフゲニーが祀られてから井戸の水が溢れ出して泉になったんだ。」
結弦「何故名前を泉に変えなかったんだ汗」
ハビ「泉の底に沈んでるだけで井戸の本体はあるから良いんじゃないかな？あ、この溢れた水に不思議な力が宿ってるんだよ。試しに…」
ハビの手が泉の水面に触れようとした瞬間、まるでドライヤーの風を当ててるかのように水がハビの手を避けた。
ハビ「この泉は、水の力が本当に必要な人にしか触れられないんだよ」
結弦「すげぇ………」
ハビ「結弦、手を浸けてみてよ！」
結弦「え？」
ハビ「泉に手を浸けられたら、きっと妖怪もなんとかなるよ！さ、ほら！」
“救いの井戸”というくらいだ。今の俺に何か授けてくれるかもしれない。
いくら願掛けとはいえ、軽い気持ちでプルシェンコの御利益を受ける訳にはいかない。目を閉じて深呼吸。頭の中をリセットして、明確な堅い意思を持って泉に願いを込める
“俺に出来る最大限で、皆を守る”と
覚悟を固めて目を開き、左手を水面に滑らせると、ひんやりとした水の感触が左手を包んだ瞬間、身体中に電流が駆け巡った。
それと同時に、もう力が使えないことで悶々とする自分は居なくなった。
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作者名：鰤しゃぶ | 作成日時：2019年4月1日 0時
