～皆の笑顔を取り戻すんだ～フィギュアスケーター with Miitopia (ページ3)

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1番最初の物語ページ3

No side

昼下がりの暖かい陽射しと、春の陽気に包まれた、サイショーの国へと続く平原は“穏やか”という言葉が相応しい。

広大な平原の中を一人進んで行く男がいた。

此処等ではよく自生しているミントの味がする蜜を出す花を、昼食後の眠気覚ましにと摘んで啜っていたが、まだ若かったのかいまいち清涼感が足りず瞼が重いままの様で、地に足がついてなさげな表情で辺りをぼぅっと流し見ていた。

思えばこの1年、ここまで穏やかな心境になることはとても少なかった。なんにせよ、誰もが尊敬し崇める神からの直々の命で、国々を巡っては多くを学んでいたのだ。沢山の刺激や覚えなくてはならない事で溢れていたのでは当然である。

ただ、次から次へと心に刺激を受けていた旅も終わり、元の日常へと戻ると思うと寂しく思うのか、すっきりと整った顔に憂いが帯びる。それなりに大変な旅ではあったが、全く悪い旅ではなかったのだろう。

遠目に街が見えてきた所で、キラキラと光る桃色の羽を持つ蝶の群れが花に集まっているのに目を奪われた。此処等にしか生息していないらしくどこの国でも見かけなかったこの蝶は本当に美しい。

流石はサイショー城の兵士達の紋章に使われているだけはあるなと見とれていたその時だ、

謎の丸い光が何処からか突然飛んできたのだ。

目の前でプカプカとホバリングするその光には、どういう訳か人の目がついており、時折パチパチと瞬きをしては困ったように男を見つめていた。