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「あさぎりゲンはここですかー?」
「はいはーい、ここだよー。もう会いたくなっちゃった?」
「アナタの落とし物を渡しに来ました」
「これ、ゲンのお花なんだよ!」
ぴょこぴょこと飛び跳ねるスイカちゃんが可愛いのでとりあえず抱き締めてからゲンに花を返した。ゲンの手の上に乗っかった花は一瞬で消えた。
「ゑ?なに、マジシャンか何か?」
「妖術だよー」
へらへらと笑うゲンが次は私の耳のあたりに指を近付けた。やっぱり変、ゲンは何だかそわそわする。自分の中で鳴り響く警鐘。でもゲンにそれが聞こえているハズもなく、その指が耳を撫でた。
また花の匂い。
「ほら、妖術デショ?」
にやりと笑ったゲンは手を引っ込めた。その手にはさっき消えたハズのお花。
「すごいんだよ!やっぱりゲンは妖術使いなんだよ」
純粋に喜んでいるスイカちゃんの手前、このマジックのタネを暴きたてるのはひどく大人げない気がして余計なことを言おうとした口を閉ざす。代わりに私は精一杯の笑顔で答えた。
「本当だ。ゲンは妖術使いダネ」
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作者名:宇治銀時 | 作成日時:2024年1月6日 23時