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「ふぅ、とりあえず最初よりはまともな装備になったかな」
狼さんは何故か仲間がいないようで、私が好きに歩き回ってる側を付かず離れずでついてきてくれる。
大体は私が道具作りなどで拠点のお留守番兼火の係、狼さんは私の周りにいてくれることもあるが肉などの備蓄がなくなってくると狩りに向かう。今日は肉が有り余っているから彼は私の横で寝そべっている。
「あ、ちょっと草花集めいってきます！」
丁度、蔦が無くなったので調達に向かう。お手製のナイフと護身用の木の枝、私的には剣のつもり……があるので大丈夫！そう思い、少し離れた草むらに突撃したときだった。
私の目の前には頭にハチマキを付けた茶髪の男の子がいた。
「うわ！お前、千空の仲間か？それとも」
「せんくー？っていうか貴方ダレ？」
「俺は……って、オオカミ！？」
私の後を追ってきた狼さんはすぐさま茶髪の男の子を威嚇する。ハチマキの彼を見定めている最中のようだ。
「やべぇ、コハクも千空もいねぇし」
「待って！この人は大丈夫！！」
「え？」
ハチマキの人の前に立ちはだかると大人しく、それでいてまだ威嚇はしながらも少し離れてくれた狼さん。
「ごめんなさい、彼は私の家族で私を守るために」
「オオカミが家族！？」
「え、あの……スミマセン」
「何で謝るんだよ、めちゃめちゃカッケーじゃねぇか！」
今度は私が驚く番だった。普通ドン引きしてもおかしくない、なんならスマホで撮られて勝手にSNSでバズるコース間違いなしの状況の私を彼はカッケーの一言で片付けた。なんか、純粋な良い子だな……。
「その、ありがとうございます。あ！私めっちゃ遠くから来たんですけどここって何県ですか？」
「ナニケン……って何だ？」
あっれー？おかしいな。どこからどう見ても日本人な彼が県を知らないとは。っていうか、そもそも彼も石化から解放された人間だという決めつけがいけないのか？となると彼は何だ？先住民？でも言葉が通じているってことはそこそこの文明、しかも日本語の知識はあるはずだ。いや、日本語と似た言語の可能性も捨てきれないがこんな異世界で普通に言葉が通じて私には狼と仲良くなれるバフがかかっているという考えの方が妥当なのでは……。ということは、つまり！
「これがいわゆる異世界転生ってヤツ！？」
「なワケあるか、ばーか」
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作者名：宇治銀時 | 作成日時：2024年1月6日 23時
