「さにわ」って…何？(笑顔【2】【刀剣乱舞】 (ページ19)

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No.58～山姥切国広side～ページ19

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紗駒麻「……まぁ、

今まで大好きだった人が突然前から居なくなるのは、誰でも寂しいよね」

「……」

紗駒麻「…でもそれは、きっと君だけじゃない。

君の本丸の皆、そして。

たった1人の本当の家族を亡くしたAが、きっと今の君らと同じ立場なんだと思う」

「…？同じ…立場に……？」

紗駒麻「…Aの過去は、本人から聞いた方がいいとは思うけど…話しちゃおう。

A、小さい時に親から虐待を受けてたんだよ」

余程驚いたのだろう、開いている口が塞がらない。

なんであんな人が……

紗駒麻「『なんであんな優しくて正義感のある人が？』って思うでしょ？」

「!!?あっ…いや……」

紗駒麻「別にいいと思うよ？おれだって最初はほんとにびっくりしたし。開いた口が全然塞がらなくて口乾燥しちゃったし～……まぁそんな事は置いといて…

木野下家は、元々裕福では無かったんだ。

父は癌で他界、母は昔から人付き合いが苦手で、頼れる友人も居ないから、家庭と仕事の両立で、いつも目の下にクマが出来てたんだって。

更には、桜那ちゃんとAを比べては『どうしてお前なんかが産まれてきたの？どうして桜那みたいにいい子に育たないの？』といつも怒られては殴られ、怒られては殴られの繰り返しだったんだよ。

もう我慢の限界になった母は、とある保護施設にAと桜那ちゃんを預けた。

それが、おれたちが家族になった場所。

そして、現在のAの就職先だよ」

「……っ」

紗駒麻「…きっと、お世話になり、自分の唯一の居場所に、恩を返すために」

「…俺達は…そんな主を引き止めていたのか…」

紗駒麻「でも、おれが思ってるには、Aはきっと、君らに感謝してると思う。

自分を必要としてくれる……

”新たな家族"に出会えたから」

そう紗駒麻が言うと、待合室の入口の扉がガチャと開いた。

主だ。顔は俯いていて表情がよく見れない。

紗駒麻に視線を向けるが、ただ優しく微笑むだけ。

「ある…じ……」

A「…帰るぞ。

俺らの、

本丸へ！」

そう言って笑った主は、

あの時の、桜の木の下で見た、あの人の笑顔に本当にそっくりで、

「…あぁ！」

俺は、

いくつもの歴史を越え、そして今、人のカタチで存在し、

アンタらみたいな主に出逢えるなんて、

幸せな刀だと感じた。