小夜左文字 ページ3
風鈴の音が聞こえる。
夜になると大太刀や槍たちの宴会の音が聞こえるが夜中になると流石にその音も聞こえなくなってくる。
ふと目が覚めてしまった僕は兄様たちが起きないように静かに立ち上がり廊下を歩く。
夏の終わりかけというものは夜になると少し肌寒くなる。
「小夜ちゃんだ」
その声に顔をあげれば主が縁側に座っていた。
「こんな時間まで起きてたら怒られちゃうよ」
「寝付けなかったからつい。小夜ちゃんは？」
「目が覚めたんだ」
主の傍に立っていると主が隣を軽く叩く。僕が隣に座ると主は嬉しそうに笑った。
「小夜ちゃんとこんなに喋るの初めてかもしれないね」
「主は色んな人に囲まれてあるから」
「小夜ちゃんも来てもいいんだよ？」
それは……と言葉が詰まってしまう。僕は復讐のために動いているのだから主の傍に立つことに少し抵抗がある。今だってそう。血濡れてしまった僕が隣にいるのはなんだか主を汚してしまう気がする。
「わたし小夜ちゃんが思ってるほど綺麗じゃないよ」
なんと言ったらいいかわからなくて言葉を詰まらせてしまう僕に主がそういった。
「どうして？」
「え、どうしてって言われると困るなぁ。たしかに人を殺したりとかそんな犯罪的なことはした事ないけど、嘘だって尽くし、人を騙そうとだってしちゃうよ」
主が僕を見て困ったような顔をする。
「犯罪的、なんて小夜ちゃん達に失礼だね。好きで殺したりしたわけじゃないんだし」
「気にしないよ」
「ううん、私が気にしちゃう。ごめんね」
ふわり、と僕の頭を撫でる主の手を心地よいと思う。大人しく頭を撫でられていると主がふふ、と笑った。
「そろそろ部屋に帰ろうか。江雪さんや宗三さんに怒られちゃう」
「兄様達は怒ったりなんてしないよ」
「小夜ちゃんにはね。宗三さんなんて特に私に冷たいよ」
「主のことを心配してるからだよ」
勘違いされないように伝えると、主は羽織っていたものを僕の肩にかけて笑った。
「分かってるよ。でも同じくらい私も心配なの」
「羽織なくても大丈夫だよ」
「私はこのまま部屋に帰るだけだけど、小夜ちゃんしばらく歩くでしょう？だから使って」
「僕には少し大きいから引きずっちゃう」
「気にしなくてもいいよ」
じゃあおやすみと襖を開けながら言った主を見送り僕も部屋へと歩き出す。少し残った主の体温と体を包む主の匂いに安心感を感じてなんだかむず痒くなった。
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めろん(プロフ) - 美紅さん» ごめんなさい！コメントの通知が来てなかったのか今見ました！い、1年前……！なんとお詫びしていいか！！遅くなりもう見てらっしゃるか分かりませんが、書きたいと思います！！ (9月23日 1時) (
レス) id: fa5094f527 (このIDを非表示/違反報告)
美紅(プロフ) - 不幸な審神者は一人で行ってしまい刀剣男士が心配するので雨が降り始めた話 (2022年3月31日 20時) (レス) id: 6d09a11cef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めろん | 作成日時：2021年11月9日 11時
