検索窓
今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:1,228 hit

小狐丸 ページ2

「主」

扉の向こうからかけられた声に返事を返せば嬉しそうに扉が開く。

「今日は主が好きと言っていた椿油で髪を整えました故拝見いただこうかと」

無下にできないこの笑顔。撫でて欲しそうに近寄ってくる小狐丸をみておもわず笑ってしまう。
こうやって朝必ず髪の調子を報告にくる小狐丸は可愛いと思う。最初は髪をといてくだされ、ときていたが私がするより本人でした方が断然綺麗で整っていた。だからこそその意を伝えると彼は整えたあと必ず私の元に来るようになった。
綺麗な髪を撫でるのはなんだか気が引けるが、撫でなければ何がダメなのかと質問攻めになるので朝のこの30分は小狐丸のために時間になってしまっている。

「髪には人一倍気を使ってるよね」
「もちろんでございます!主に撫でてもらうこの至福のため!」

体格のわりに可愛いことをいうもんだ。トリートメントを教えたらそれはもうこだわりだしたし、ほんとに力をいれてるなぁと改めて思う。加州には小狐丸ばかりずるい!と言われたが加州だって新しいマニキュアを使った日は半日拘束するのだから大して変わらないと思うのだ。一気に使うか細かく使うかの違いだなぁ。

「主様と同じとりーとめんとが1番よいです」
「ほんと?私は髪が長くないからあんまりこだわってないけど」
「いえ!主さまと同じ匂いがするだけで霊力が高まります」
「そんなもの?」

撫でる手をとめれば、小狐丸は満足そうに目を細める。結局こういう顔が可愛くてこの時間を許してしまっているわけだが。

「今日もとても至福でございました」
「今日もって…まだ朝だよ。それに今日は遠征だからね」

そういうと小狐丸の顔は絶望に変わっていく。

「ま、まさか主……」
「うん、24時間のやつ」

依頼札なくなってきたし、と心でつぶやくといよいよ絶望したように顔を伏せてしまう。

「こ、この小狐丸。主に頭を撫でてもらなくては生きていけませぬ」
「大袈裟な……」
「せめてお昼から出発させてくだされ!それか今から!!」
「今からは難しいかな……」

もう一度頭をふわりと撫でる。

「帰ってきたら一緒に出かけよっか」

どうせ買わなくては行けないものもあるし、と思うと耳をぴんとたて、立ち上がった。

「この小狐丸。いつでも遠征に行けまする」

その切り替えにぽかんとしていると、小狐丸は嬉しそうに部屋から出ていった。なんだか狐に化かされた気分だ。

小夜左文字→←加州清光



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (2 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
設定タグ:刀剣乱舞 , とうらぶ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

めろん(プロフ) - 美紅さん» ごめんなさい!コメントの通知が来てなかったのか今見ました!い、1年前……!なんとお詫びしていいか!!遅くなりもう見てらっしゃるか分かりませんが、書きたいと思います!! (9月23日 1時) (レス) id: fa5094f527 (このIDを非表示/違反報告)
美紅(プロフ) - 不幸な審神者は一人で行ってしまい刀剣男士が心配するので雨が降り始めた話 (2022年3月31日 20時) (レス) id: 6d09a11cef (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:めろん | 作成日時:2021年11月9日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。