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「は?それで付き合ってないの?恋愛偏差値低すぎだろ」
「最後のやり取りはむしろ高いだろ」
「最終的に付き合ってないから0」
「それはそうだ!なんで?ベクトルが違いすぎた?」



いつもの4人での昼食。普段と系統の違う靴に気づいた彼らに事情を話すとはーこれだからカップルは、と文句を言われる。付き合ってないけどねとラストに付け加えると急に私への不満大会がはじまった。


「冷めすぎ」
「報連相ちゃんとしようぜ」
「付き合ってない理由が分からん」
「相思相愛じゃんね」
「やっぱベクトルが違ったか」
「Iベクトルだけに?」
「は?つまらん、零点」
「え、厳しいな」
「山本を始点としたベクトルがIベクトルだろ。で、逆がeベクトル」
「大きさ1かよ」


やいのやいのと騒ぎ立てる2人。山本を見るとやっぱ付き合ってないよね…と苦笑いをしていた。


「そもそも山本のこと好きなの?恋愛的に」

「好ましく思ってはいるよ」

「え」
「唐突な政治家やめろ」


キョトンとした顔でこちらを向く山本。嫌いだったら一緒に遊びに行ったりデザインの相談したりしないからね、と言うと興奮していつから!?と聞いてくる。は、と笑って誤魔化すと口を尖らせて不満を顔全体であらわすのも可愛い。恋するフィルター、いとおかしってやつ。


「はーこれだからリア充は」
「俺達は一人寂しく家にいたって言うのに」
「え、お前彼女いなかった?」
「待ち合わせ場所行ったら居なくて、連絡先ブロックされてた。多分お遊び」


悲惨な友人の体験談にジュースを奢る。カレー食ってるやつにコーラ渡すなと怒られて話を戻された。

「ま、初対面があんなんじゃ好きって伝えただけでショック死しちゃいそうだもんな」

「アレさ、問題出して答えを聞かないクイズ番組の司会の人みたいだった」

「そんな風に思ってたの!?」
「感性が独特だな」


一方的な矢印で始まった恋。無くても生きていけるけど、あったらあったでちょっと良いかもしれない。無い時の方が楽だったけど。


「山本、私に言いたいことある?」

「…うん。Aちゃんのこと、すっごく好きだから。付き合って欲しいな」



恋をしても劇的に世界が変わるなんて有り得ない。地軸の傾きは目に見えないし、フェミニストは騒いでいる。世界が色づいて見えることもないし、差別も無くならない。でも、靴は白くなったし一人でフラリと気ままに外に出ることも少なくなった。恋ってのは多分、そういうものなんだと思う。知らんけど。

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作者名: | 作成日時:2021年3月9日 20時

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