【QK】15cmヒール【ymmt】 (ページ4)

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｢あの子困惑してるぞ、望み薄かな｣
｢黙って！｣

茶化すように話しかける2人組はうずくまった彼を更にドン底に落とすような言葉をかけ始める。仲が良いように見えたけど、ここまで来ると悪友だなと思う。時計を見ると四限目ももう半分過ぎていて、欠席確定だった。

｢告白聞かなかった事にしてもらったら？｣
｢発想が天才じゃん。そうしてもらいなよ山本｣

なおも止まらない口。山本くんは下唇を突き出して不満そうな顔をした。2人へ余計なことをしないでだの、早く出ていけだの、文句を言い始めると負けじと俺達がいたから話しかけられたんだろーがと返されて黙ってしまう。

｢告白、無かったことにしようか？｣

自分より少し下にある顔を見つめると、直ぐに真っ赤になる顔。ここまで分かりやすく好意を示されるのも面白い。

｢僕のこと嫌いになっちゃった…｣

｢まぁそういうこともあるよな｣
｢あとは若いおふたりで｣

落ち込む彼。私の一挙一動に翻弄される姿に申し訳ない気持ちが出てくる。これじゃあまるで悪女だ。男を弄ぶような倫理観の無い人間では無いので2人きりの教室でとりあえず起き上がりなよと声をかける。まずは自己紹介と認識の擦り合わせからするべきだと思ったがらどうやら学祭前からこちらのことを認知していたらしく、私の紹介は必要なさそうだった。

｢山本祥彰です。先進理工学部応用物理学科で、一年生です。名前とか所属は知ってたんですけど性別は知りませんでした。前からずっと気になってたんですけど、この前の学祭で好きになりました。付き合ってください｣

頭を深く下げる山本君。この場で告白の返事をしなくちゃいけない雰囲気。
まずはお友達からでお願いします、とこちらも頭を下げたら安心したように息をついた。

連絡先を交換して教室を出ると出待ちしていた2人がニヤニヤしながら食堂へ誘ってくる。授業をサボって4人で囲む昼飯では、山本くんは緊張して全然話さない。いつもはもっと喋るんだけどと笑われると拗ねたように頬を膨らませたので可愛いキャラで売っているのだろう。次のクラスは被っていないらしく、ここで3人とは別れる。明日も一緒に飯食おうぜ、という言葉に頷いて教室へ向かうと待って！と声をかけられた。

｢あの、Aちゃんって呼んでもいい、ですか…？｣

｢今までなんて呼んでたの？よっぽど変じゃなかったらそのままでいいよ｣

｢ホント！？やった、ありがとう！Aちゃん！｣

元気良すぎ。