◇ 34 : 今だけでいいから ページ34
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伊藤の側に同じように座り込んだAは、鞄からハンカチを出して、伊藤の額を流れる血を拭いていく。拭うたびに、自分があのとき開久の生徒とぶつかっていなかったら、と後悔ばかり襲ってきて、涙をポロポロと流しながら、伊藤の血を拭っていた。
「 … さっちゃん、さっちゃんも帰って？ 」
「 っ、嫌、！ 」
「 嫌って … どうして … 」
「 だって … 私のせいでもあるじゃない … 。足手まといになるのはわかってる、でも今は一緒にいたいの 」
「 さっちゃん … 」
「 お願い … 今だけ、今だけでいいから …
伊藤くんの側にいさせて …… っ 」
拭っていたハンカチをぐっと握りしめ、震えた声で俯きながらそう言うA。伊藤は、そんなAに手を伸ばし、頬に触れ流れる涙を親指で拭い、顔を上げさせた。
「 いとうくん、… 」
「 本当は凄い嫌だ。さっちゃんには危険な目に合わせたくないし、かっこ悪いところ見せたくないし 」
「 …… 」
「 … さっちゃんの涙には弱いんだよ、俺 」
「 へ … ？ 」
「 俺の側、絶対離れちゃダメだよ 」
伊藤のその言葉に、一瞬目を見開いてから噛みしめるようにして顔を縦に振ったA。今井はその一部始終を「 ( … あれ？伊藤の彼女って成蘭の子じゃ … ？てかAさんにそんなこと言われるとか羨ましぃぃ！ ) 」と不思議に思いながらも羨んで見ていた。
そんな時、誰かが走ってくる足音が聞こえ、
思わず身が硬くなったA。
「 おいお前ら … ってA？！お前早く帰れっつったろ！ 」
「 三ちゃん、私帰らないから 」
「 はぁ？何言って、」
「 だから早く開久の番長さんやっつけてね 」
「 …… はぁ、ったく … お前って意外と生意気なのな 」
呆れたように笑ってそう言った三橋は、どうやらAがここにいることを了承したようで。そんな時、ぞろぞろと沢山の足音が聞こえてくる。片桐が開久の生徒達を引き連れて、倉庫の中へ入ってきたのだ。
「 … てめぇらよくも開久舐めてくれたな 」
「 いやだって襲ってくるからぁ … 」
「 てめぇら井上さんもやったろ
石橋と吉村なんてふざけた偽名使いやがって 」
ジロリとこちらを睨む片桐。片桐が言った言葉に「 なんのこと！ 」と今井が伊藤と三橋を何度も往復してみるが、三橋はそのままゆっくりと片桐の方へと足を進めて行った。
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みに(プロフ) - みっきーさん» コメントありがとうございます！私も無事にくっつけられるように頑張ります^^ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2018年12月12日 8時) (
レス) id: b7f7b4b60d (このIDを非表示/違反報告)
みっきー - 初コメ失礼します。タイトルに惹かれて読んでみたら、一気に読んじゃいました(笑)面白いです！伊藤くんとヒロインちゃんが無事にくっつきますように、見守っていきたいと思います！頑張ってください！ (2018年12月11日 18時) (レス) id: 7809a2007e (このIDを非表示/違反報告)
みに(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます！伊藤くんとの仲に関してはたくさん拗らせて行こうと思ってるので、最後までお楽しみいただけたらと思います^^ (2018年12月10日 7時) (レス) id: b7f7b4b60d (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - はじめまして！すごく丁寧にお話をなぞってあり、いつも楽しませていただいています！伊藤くん落ちというのもすごく楽しみななか、最新話の展開にドキドキ！無事に伊藤くんと近づけますように！楽しみにしております！ (2018年12月9日 9時) (レス) id: fd73c1c988 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みに | 作成日時：2018年12月4日 23時
