36話 ページ38
「終わりにしよ？俺が始めた話だから、俺が終わりにしないと……家に帰った方がいい。別にまた問題起こればいつでも来ていいから」
デュースは微笑みを浮かべる俺に、何の感情も宿さない瞳を向けてきた。何を見られているのかわからなくて、笑みがこびりついて、そのまま落ちた。
「君はやり直せるとしたらどこからどうする？」
突飛な質問。意図が読めなくて首を傾げると、「ただの興味だ」と無感動に言われた。
「……やり直せるとしたらって……どういう意味で」
「僕に告白しなかった方がよかったと言っていたから、そうなのかと思って」
もう一度やり直せるとしたら、俺はどうするだろうか──真摯に、まともに、ちゃんと正面から考えてやる。
「……お前が絶対に俺を選ぶようにもっとちゃんと道敷いてそれ以外の道行かねーようにしてやる」
「ははは！」
「何笑ってるんだよ」
「いや……それなら来世では大丈夫そうだと思ったんだ」
「……、」
「来世ではよろしく頼むな？」
あーあ。あー、わかっちゃった。
もうお前、本当に俺のこと少しも好きじゃなくなっちゃったんだ。
来世なんてねぇよバーカ。お前本当にクズ野郎だな──何か言ってやりたいのに、言葉が微塵もまとまらない──少しも好かれていないことを理解させられた後では。何を言うにしても怖いし、何かを言う必要性ももはや感じない。
「……よろしくね」
「ああ、よろしく」
今まで俺と話すの面倒くさかっただろうな、という申し訳なさだけが最後にふわっと存在したけれど。
俺には所詮、それだけしかなかった。
「それが本当に君の望みならいいんだ」
いつかと似たようなことを言っている。
このデュースの言葉は、今度は正解なのだろうか。
車が、ガキを連れて家から去っていくのを見ていた。
その数日後のことだった。
最後に子どもと挨拶した時の記憶がふわふわしていることを感じながら、ふと、指で小突いてグラスを落として、床にお茶が広がって、溢れて。
その瞬間に気付いた。これから遅れて開かれる結婚式の招待状が来ることに。俺は1人で今更気付いた。
「……はやく死ななきゃ」
はやく死なないと。招待状が来てから死んだのでは、確実にデュースの責任になってしまう。
やるなら今しかない。
招待状が来る前にはやく死ななきゃ、と思って、俺は物置にある農薬の致死量について考えながら立ち上がった。
はやく死にたい。
はやく死なないと。
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功徳(プロフ) - くずきりさん» わーい‼️全部読んでくださってる……いつもありがとうございます🥰今後ともよろしくお願いします💦 (11月10日 22時) (
レス) id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
くずきり - 初コメ失礼します、語彙力イカレてますがぶっ飛びそうな位好きです。主可愛くて愛おしいしスペード可愛い極まりないのに最後でうわ〜て感じ噛まして来て、結局お互いの事も自分の事も一番みたいな…作者様の作品全部好きです応援してます、今後とも応援させて頂きます！ (7月28日 22時) (レス) @page47 id: cd8b5937a1 (このIDを非表示/違反報告)
功徳(プロフ) - ？？？さん» ありがとうございます！よかったです！嫁との仲直り（気色悪い隠語）はさぞかし優しくて愛情を感じるものになったと思ってます（でも結局夢主が最終的に結婚を認める形式で浮気を最初に許容したのが悪い） (5月29日 17時) (レス) @page50 id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
？？？ - 初コメ失礼します。作者様の作品に一目惚れし、バットエンドやシリアスが好きになった者です。最後の最後にデュースが爆弾をぶっ込んで来て、頭を抱えていても立ってもいられなくなりコメントしました。作者様の書く小説が大好きです。失礼しました。 (5月28日 23時) (レス) @page50 id: fb57b657b4 (このIDを非表示/違反報告)
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