30話 ページ32
本当に微塵も伝わっていなくて、溜め息を吐いた。そのままそれを深呼吸に切り替えてデュースの顔を見ると、胡乱げな瞳のまま、俺の溜め息に怯えている顔をしていて。
手で顔を覆う。
「いや、いーや全部俺のせい……俺のせい……」
「……君のせいじゃないって言った方がいいのか？」
「……」
「わからないんだ、本当に……教えてほしい」
嫁の気持ちが、わかってきてしまった。
わかってきてしまって仕方ないから、俺はデュースを叱るか、抱擁するか、どっちかを決めなくてはいけなくて。
「……君が迷ってるのはわかるんだ」
「……」
「なんで迷ってるのかも教えてほしい……」
端的に言って超めんどくせえ。毎度毎度さあ。なんでわかんねえんだよ。いやコイツがわかるように言ってねえんだけど。というかめんどくさい勝負だったら俺の勝ちなんだけど。
これがいつまで続くのかもわかんねえし、コイツが子どもじゃない分。
甘えモードに入って叱るっていう雰囲気じゃないところでお願いの形式で宥める手も封じられていて、しっかりした同級生として振る舞っていたツケを払わされている気分だ──実際そうなのだろうが。
めんどくせーっつって自室に逃げて帰りたい気持ちを抑える。抑えて、抑えて。なんで抑えてんのかわかんなくなって溢れそうになるのも全部抑えて、抱え込んで持ってやる。どうしたってここには俺しかいない。
考えなければ。どう言うかも、ちゃんと。コイツにわかるように。
「俺はお前がこれからどうするつもりなのかを知らないから怖いんだよ」
「何が怖いんだ……？」
「嫌われたくない……好きでいてほしい……好きで……」
「君、本当に最近女々しいな」
「……」
「性格が変わったのか……？」
「おれがわるいの……？」
「あっ！ち、違う……！君は悪くない！」
悪くない悪くないと言いながら俺を宥めにかかるデュースに、ちょっと悲しい声が出たことを反省するが、それの意味があるのかどうかはわからない。
「前はもっとなんか……もっと傍若無人だったというか」
「そうだね……」
ある程度傍若無人に振る舞っているフリをしていただけだ。そっちの方が人に気を遣わせないことを知っていたから。で、今それができるほど余裕がないからこうなっているというだけだなんて、本当は昔からずっと怯えっぱなしだったなんて、言ってどうするんだろうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 30人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ツイステ」関連の作品
誕生日プレゼントに黒き馬車の乗車券貰いました。4【ツイステ】
【ツイステ】兄ッポラになった転生者 目指せ弟溺愛bot！ 2
不運体質のゴーストバスター�供撻譽�ナ・キングスカラー】
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
功徳(プロフ) - くずきりさん» わーい‼️全部読んでくださってる……いつもありがとうございます🥰今後ともよろしくお願いします💦 (11月10日 22時) (
レス) id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
くずきり - 初コメ失礼します、語彙力イカレてますがぶっ飛びそうな位好きです。主可愛くて愛おしいしスペード可愛い極まりないのに最後でうわ〜て感じ噛まして来て、結局お互いの事も自分の事も一番みたいな…作者様の作品全部好きです応援してます、今後とも応援させて頂きます！ (7月28日 22時) (レス) @page47 id: cd8b5937a1 (このIDを非表示/違反報告)
功徳(プロフ) - ？？？さん» ありがとうございます！よかったです！嫁との仲直り（気色悪い隠語）はさぞかし優しくて愛情を感じるものになったと思ってます（でも結局夢主が最終的に結婚を認める形式で浮気を最初に許容したのが悪い） (5月29日 17時) (レス) @page50 id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
？？？ - 初コメ失礼します。作者様の作品に一目惚れし、バットエンドやシリアスが好きになった者です。最後の最後にデュースが爆弾をぶっ込んで来て、頭を抱えていても立ってもいられなくなりコメントしました。作者様の書く小説が大好きです。失礼しました。 (5月28日 23時) (レス) @page50 id: fb57b657b4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
