10話 ページ12
「一緒に悪いことすればちょっとはマシになるかと思ってこれも乗ったからさ、俺が最低限乗った分少しはマシになってくれよ。俺もうあの子の前でお前と喋らないのもやめるし」
「……」
「お前に対する色々、一回どうでもよくなってっから、もう気にすんな。こんなこと言ったって無理だろうけど、気にしないように振る舞ってたら意外と忘れるぜ」
「……それが本当にお前の望みなら、いいんだが」
「お、それ正解かも。あったじゃん、俺が用意してなくても……胸張れって、親父だろお前」
「ああ……そうだな。そうだよな、本当に……」
「本当だよ」
ヘラヘラしながらデュースの背を撫でていると。
突然、目の端に動くものが映って。それが水滴だと気付くと同時に、デュースが泣いていることに気付いた。
「僕は……僕は本当に」
「……」
「すまん、すまない、ごめんな……何をしているんだ、僕は」
「……」
「A……」
「……なに？」
「僕のこと、嫌いにならないでくれ」
よくそんなこと言えるな、なんて、まだ頭の隅で思っている俺が居て、そのことに安堵するけれど。
こいつをここまで追い詰めたのは俺自身だと思うと。そして、こいつには今、本当に俺しかない──のだと、思うと。
「こっちの台詞だよ」
「？」
「嫌いにならないでくれって。……嫌いっつーか、居なくならないでくれ」
「居なく……ならない。いつまでかは断言できないが、突然とか、そういうことはしない……お前の恩に報いる」
「それを気にすんなっつってんのに」
「……最低限は」
「本当最低限でいいよ。よしよし、気負いすぎ気負いすぎ、もう気負う時間終わりにして。大丈夫大丈夫」
背中を撫でてやる。
「デュース、いいよ。お前がいっぱいなんか考えてるのはわかってるし、お前がしんどいのもわかるからさ、そんな辛そうな顔するなって」
「……」
「……大丈夫だよ、なんとか、するから……なるし。後は俺たちの気の持ちようだろ」
「……」
「得たかったものは得られたか？最低限……」
「……ああ」
「俺ももう大丈夫だよ。散々お前に当たり散らして、もう溜飲が下がったよ」
「……うん」
「帰ろ？」
「……帰る」
デュースは、帰る、と口ごもるようにもう一度呟いてから、痙攣させるように身体を揺らしてドアをあけて出て、運転席に戻った。
細く長く息を吐くと、どっと疲れが出る。肩凝りの感覚が突然あまりにも鮮明になり、目をぎゅっとかたく瞑った。
車が発車する。
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功徳(プロフ) - くずきりさん» わーい‼️全部読んでくださってる……いつもありがとうございます🥰今後ともよろしくお願いします💦 (11月10日 22時) (
レス) id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
くずきり - 初コメ失礼します、語彙力イカレてますがぶっ飛びそうな位好きです。主可愛くて愛おしいしスペード可愛い極まりないのに最後でうわ〜て感じ噛まして来て、結局お互いの事も自分の事も一番みたいな…作者様の作品全部好きです応援してます、今後とも応援させて頂きます！ (7月28日 22時) (レス) @page47 id: cd8b5937a1 (このIDを非表示/違反報告)
功徳(プロフ) - ？？？さん» ありがとうございます！よかったです！嫁との仲直り（気色悪い隠語）はさぞかし優しくて愛情を感じるものになったと思ってます（でも結局夢主が最終的に結婚を認める形式で浮気を最初に許容したのが悪い） (5月29日 17時) (レス) @page50 id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
？？？ - 初コメ失礼します。作者様の作品に一目惚れし、バットエンドやシリアスが好きになった者です。最後の最後にデュースが爆弾をぶっ込んで来て、頭を抱えていても立ってもいられなくなりコメントしました。作者様の書く小説が大好きです。失礼しました。 (5月28日 23時) (レス) @page50 id: fb57b657b4 (このIDを非表示/違反報告)
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