私の彼氏は気分屋すぎて困ります。【短編集】＊zwei

４　＜彼ｓｉｄｅ＞ ページ13

「…おいひ〜〜〜！」


ほわわん、という音とともに周りに花やらが散りばめられる…よくあるセットが似合いそうなほど彼女は幸せそうな顔をしていた。


…うん、可愛い。


というかそんな顔されるとこっちまで幸せになっちゃいそうじゃないか。


俺はそんなAの頭を撫でる。


「んぐんぐ…ん？仁は食べないの？」


彼女は口の周りにチョコといっぱいつけて聞いてきた。


それはそれで可愛いけど…なんか、なぁ？


「食べるぜ？…つかお前、チョコつきすぎ」


俺はティッシュを掴むと、Aの口元にぐりぐりと押し当てた。


「う、うああ、痛い痛い痛い。繊維が、繊維がぁぁぁ〜〜」


…何か謎のことを言っているがあえてスルーして、俺は彼女の口周りのチョコを拭き終えた。


そして、串でカステラをぷすっと刺して、ほんとに少しだけチョコに浸して食べてみる。


甘ェ…俺は甘いものが好きな人の心理がワカラナイ人だな、きっと。


それでもがんばって食べることにする。まぁ、大半は彼女が食い尽くしてくれると思うが。


そんなAとはいうと串が２本に増えていて、まさかの２刀流。


恐ろしい速さで食い尽くしてく…。


太っても知らねーぞ…あ、でも少し太ったAも可愛いかもな。


「おいしい〜」


もぐもぐ、と食べ尽くしていくA。


そんな彼女を見て、俺は名案を思いつく。


やっぱ…なぁ？俺ら、「彼氏彼女」だしなぁ…？


にやっと笑うと、俺が使っていた串にバナナを刺して、チョコをたっぷり絡める。


「A−」


「なにー？」


「はい、あーん♡」


俺は笑顔で、Aの口の高さまで串を掲げた。

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