私の彼氏は気分屋すぎて困ります。【短編集】＊eins

アイス ページ1

「ん」


「ど、どーもっ」


私は俊介から不愛想に手渡されたコーンタイプのアイスを受け取る。


渡した彼は私の隣に、ドサッと腰かける。


今はデート中。


でもって、おいしそうなアイス屋さんを見つけ私が「食べたい！」と言ったことからこうなった。


私は彼が買ってくると言って「何味がいい？」と聞かれ何味でもいいって言ったんだけど、本音を言えばイチゴ味がいい。


何故って…私がイチゴ味が大好きだから。


でもって、実際そこにある味というと。


「イチゴ…」


私は少し感激していた。


ちなみにこのアイスは彼のおごりだ。


いつも意地悪な彼がアイスを買ってくれたことに感激しているのではない。


前に一回、言ったことがあるのだ。アイスはイチゴ味が好きだ、って。


「覚えててくれたんだ…」


私は不思議と胸がいっぱいになった。


こんなにどうでもいいことを、彼は覚えていてくれたんだ…


「何？食べないの？」


彼は私が食べずにずっとアイスに魅入ってることを不思議に思ったのだろう、声をかけてきた。


ちなみに彼はバニラ味。甘いものはあまり好きではないらしい…おいしいのに。


「ねぇ、食べないの？」


問いかける声はいらないなら貰うぞ、とでも言いたげだ。


「た、食べますよぅ！」

私はぷいっとそっぽを向き、アイスにかぶりついた。

２→

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