実はマネもう一人いるんだよ【梟谷】

#9　帰路 ページ10

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赤「A、まだ〜？」


『ちょい待ち。』


ブレザーに腕をとおしながら更衣室前の赤葦に聞こえるよう声を張る。


他の方からしたら部活終わり恒例の光景だ。



白「Aと赤葦って家が近いんだっけ〜」


『…はい、歩いて5分くらいです。中学は違いましたけど小学校までは一緒でした。』


白「ヘ〜！」


ひとあし先に着替えを済ませた白福さんは常備しているお菓子やらなんやらを口に放り込む。


これもいつもの光景だ。


ロッカーについた鏡で髪を直したりなんて女の子らしいことは一切せずガシャンと閉める。


リュックの中の私物を確認して、私は更衣室を後にした。


『…お疲れ様です』

「「お疲れ〜」」


先輩方の声を背に、私は更衣室の中が外から見えないよう少しだけ開いてそこからすり抜けた。


『待たせた。』


赤「ん、帰ろう。」


私を待っていた赤葦は壁から身を起こして私と肩を並べて歩き出す。


外に出ると、もう７時を回っているにもかかわらず夏のせいかまだ少し明るかった。


赤「もう夏だね。」


『んー』


赤葦と雑談を交わしつつ、学校が見えなくなったくらいでゲームを取り出す。


赤葦の歩きゲーム反対の声は聞こえないことにしよう。


『……赤葦、ガチャの回すボタン押して。』


手元のゲームを赤葦の前に出す。


赤「回していいの？」


『最近私が回しても爆ﾀﾋばっかだから。赤葦に託す』


赤「責任重大じゃん。」


いやな顔をしながらもちゃんと回してくれる赤葦はやっぱ優しい。


結果的に赤葦のゴットハンドによって☆四が一体でた。


『でかした。』


赤「それスゴいやつなの？」


部活中遮られた説明の継続版みたいなもので、赤葦にこのゲームの素晴らしさを語った。


案外しっかり聞いてくれて話す側として心地よい。


赤「あ、そういえばA部活の予定表持ってる？」


『うん。家にある。』


赤「なくしちゃったから、スマホで撮らせてほしい。」


『いよ。でも、その前にここ寄っていい？』


そう言って足を止める。


私の目線の先にはスーパーマーケットが映っていた。

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