実はマネもう一人いるんだよ【梟谷】

#11　嫌いなこと ページ12

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「Aちゃんのパパとママ今日も来ないの〜？」


『……うん。仕事が忙しいんだって。』


お遊戯会、運動会、授業参観といろんな行事があったが、一度も両親が来てくれた記憶がない。


たまにおばあちゃんが来てくれたりしていたが、私と違って埼玉に住んでいるからそう頻繁に来てはもらえなかった。


周りの子達が当たり前のようにお母さんに笑顔を向けるのを横目にいつも先生とペアになるのは幼いながら惨めだと感じていた。


その時点でうちは他の家となにか違うのかと思い、時には自分が愛されていないのかもと不安を感じた。


でも中学校に上がると、そういう行事も減って少し安心した。


でもやっぱり帰ってから押し寄せる寂しさの中で食べる夕飯は美味しいもくそもない、誰かとご飯を食べたのだってどのくらい前だろうか。


正直、実の両親の顔さえそんな明確に覚えていない。


顔を合わせるのだって祝日かたまたま時間が重なったときくらい。


その度にあぁ、こんな顔だったなって感じる。


友達はいるけど、ゲーム大好き人間だったから変な子認定されて少ない方だった。


そんな代わり映えのない生活の中、高校に上がってバレー部のマネージャーに誘われたからなんとなく入った。


バレーの知識は先輩方に少しずつ教えてもらいながら覚えたけど、たまに曖昧なところがでる。


合宿や遠出なんて参加したことなくて、いつも一人家でゲームを楽しみながら今、バレー部の皆さんは汗水滴しながら練習してるんだろうなってぼんやり考えるのが恒例になっていた。


バレーにそこまでの関心はない。


だからたまに思う。


こんな半端者がここに居て良いのだろうか。


勝ち負け一つで喜んだり、悲しんだりする姿を見て一人その感情についていけなくて、あぁ私は何をしてもやっぱり独りなんだと痛感する。


こんな私を知ったら皆軽蔑してのけ者するだろうか。


でも、仲間の皮を被っただけの私は今もどうせひとりぼっち。

なら、のけ者にされても化けの皮が剥がれるだけでやっぱり本質は変わらずひとりなんだ。



決して一人になるのが怖いんじゃなくて、あるかも分からない信頼や関心を失うのが怖い。


私に孤独感を与えた両親が嫌いなんじゃなくて、素直に寂しいと言えない自分が一番嫌いなんだ。

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