君は絵の具じゃ描けない【snr】

22話(センラ) ページ23

「あ、上靴…」



土に入る前のコンクリートで靴を脱ごうとする



センラ「靴下汚れるやん。…ちょっと、まってて」



急いで走って、自分の登校用の靴を差し出す



「え！でも濡れちゃうよ！！私、やっぱり靴箱に行って…」



センラ「俺スパイクで帰ればええし。はい、履いて」



申し訳なさそうに靴を履いて



…かなりカポカポなのが、なんか



センラ「うわっっっ」



『いつまでいちゃついてんだよ！！いい加減にしろ！！！』



「冷たいっっ」



センラ「貸せや！！」



『ぎゃーーーー、！！！！』



水を馬鹿みたいに掛け合って、はしゃぎ回ってずっと遊んだ



センラ「…っは、はー…づがれだー」



「はー…ふっ、ふふふ、疲れたねー」



あいつらはタオルを持ってくると走っていって、2人で比較的綺麗な草場に寝転んで



センラ「…！！」



横目で見てみた彼女の制服が、濡れて透けてて



ワイシャツって良くねえわ



センラ「ちょ、ちょ、ちょっとまってて！！」



また走って、自分のジャージの上着を彼女に渡した



「？」



センラ「ほら、冷えてきちゃうし！」



「ぬ、濡れちゃう…」



センラ「ええから着て！」



無理やり羽織らせると、これまたデカくて



俺、背高くてよかった。なんて馬鹿みたいなこと考えた



『お待たせ…って、あ！センラ！！』



センラ「え？」



『お前！上着貸しただろ！！せっかくのラッキースケベを…』



センラ「…お前消し炭にするぞ」



他の子だったら俺もそんなふうに思っちゃうんかな



それはきもいな



「センラくん！」



センラ「っわ」



「早く拭かなきゃ、風邪ひいちゃう」



悪戯気に俺の頭にタオルを被せて笑うのも、なんか、全部なんか、なんか



センラ「…ねえ、…A、さん」



「Aです」



センラ「…A」



「はい？」



センラ「もう、暗くなって来ちゃったし、一緒に帰ろうか」



なんか、俺もしかしたらさ

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