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腹の立つくらい聞き慣れた雀の囀りで朝を迎える。
声も出ないくらいの溜息が盛れ出して頭が痛くなった。
あの日から小説家ポオさんと連絡先を交換して、少しでも私の不満を解消してくれる人材を見つけた。
にしても乱歩さんの私への絡み方は異常だと思う。
本人は勘違いしろだなんだと云っているけれど、正直そんな次元じゃない。ちょっとよく分からないけど。
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「あ、あああ!!Aさん!!ちょ、ちょっと!!」
『え、何?どうしたの朝から。えっと…敦くん!』
「名前でドヤ顔しなくていいですから!…ってあれ!例の手紙は?!」
歯が抜け落ちそうな程顔を震わせている敦くん。しょっちゅう太宰さんにこんな感じの顔をさせられているけど、なんだかそうでも無いようだった。
敦くんの呼びかけに谷崎君と与謝野女医が駆け寄ってくる。
「之だよ之!Aもやる様になったじゃないか」
「Aさん宛で投函されてたんですよ!熱烈なお見合いの手紙が!」
お見合い?
『はぁ!?!誰?!お見合い誰?!』
「兎に角手紙ですぅ!読んでくださいぃぃ!!」
長々と書かれた達筆の手紙を見せられる。
二葉亭A様宛
いきなりのご無礼をお許しください。私は近々A様にお見合いのお願いをすべく手紙を出させて頂きました。
私は隣町の警察署に勤務しているもので……
「なっっっがいですね…」
「こりゃ大分お熱だねぇ」
読んでいるだけで顔が熱くなるような文章がつらつらと書かれていて、所々インクが滲んでいる所から、随分と試行錯誤したのがわかる。
『さ、詐欺じゃないですかね…?仕事で見かけてって書いてありますけどそんな事ありますかねー…』
「詐欺はないさAちゃん。私も読んだけれどそこまで具体的に出会った時の事が書かれているのに、家を調べずに仕事場に送ってくるというのは随分と常識のあって、仕事をしている姿に惚れた、というのが伝わってくるね」
『太宰さん…』
顔がかーっと熱くなって必要に髪を撫でる。
嬉しくないのかい?と与謝野女医に聞かれたが言葉に詰まってしまった。嬉しくない訳では無い、けれど
「取り敢えず連絡先だけでも登録してみては?下にほら、記載されてますよ」
『そしたら承諾したみたいにならないかな…』
「連絡は取ってみるべきだよ」
渋々後の方の文章に目を通す。
すると次の瞬間、空気が凍った。
「そういえば、乱歩さんはこの事知ってるんですか?」
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ゅ - 1話の太宰さんの下の方から潰された蛙の様な声がするで笑ってしまいました、笑 (2023年4月22日 14時) (レス) @page2 id: 74e0460151 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわありす(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます!私は正直なところ今まであまり乱歩さんを意識したことがなかったのですが、この作品で沼にドボンしました……有難うございます!お疲れさまでした。 (2023年4月9日 23時) (レス) @page42 id: d368e0b18f (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - 梅原さん» わわ、嬉しいです!一緒に乱歩さんの沼にはまり落ちましょう……!! (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - モンブランさん» わー!嬉しい!ありがとうございます💕なかなか喋らせるのに苦戦してます…笑笑 (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
梅原(プロフ) - アニメ見て乱歩さんいいなと思っていた時にこの小説に出会いました。久々に面白いものが読めてテンションあがりました。。。 (2023年2月20日 19時) (レス) @page32 id: ecb93650e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小榛 | 作成日時:2023年1月8日 11時