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「妾は吃驚したよ。乱歩さんがついに介護士になったのかと」
「Aの?真逆!少し興味はあるけどね」

『す、すみません…』


あれから乱歩さんに支えられ、無事ではないが無事出勤することが出来た。それから与謝野女医に腰を見てもらい、湿布を何枚か貰って終わった。
よかった…解剖されなくて




「A〜大丈夫?」


デスクにビタンと伏せている私の横にちらりと黒髪が映る。
驚かせた事が響いたのか、少ししょぼくれているようにも見える。
いい機会だ。これを機にいつも私だけに仕掛けてくるちょっかいも減るでしょう。




『大丈夫ですけど、もう辞めてくださいね?また腰やっちゃいますから』
「そうだな、…僕のせいで腰、痛いんだもんね?」
『ひっ』

やたらと含みのある言い方でさらりと腰を撫でられる。
思わず振り向くと透き通った翠色の瞳と目が合った。

少しばかり口角を上げて妖艶に微笑む様に顔に熱が集まるのを感じる。



「なーんだ、振り返れんの?つまんない」
『ば、莫迦!誤解される言い方やめてください!』
「莫迦ぁ?それは君だろ?今朝からあーんなに声出してたのに」


『ちょっと!!せくはら!!』



つーっと背中に指を下ろしたかと思うと、大きく笑いながら机に戻って行ってしまった。あんの名探偵め…
谷崎くんが顔を引き攣らせながらありえないという顔をしている。


『ち、ちが、違うよ?腰が痛いのはひっくり返ったからであって、えっと』

「は、ははは…Aさんも結構大胆ですね」
『おっとこれはまいった』


熱の冷めない顔を手の平で仰ぎながら、乱歩さんの居るデスクを睨もうとすると、また目が合ってしまった。
そう、そうだ。あの目と目が合うといつも何か恥をかく。



「何?こっち見て。僕に惚れ直した?」


『な、たまたまです!元々惚れてもないですし!』
「そーお?こっち見たのに」


そんな事言ったらそっちだって見てたくせに。
また楽しそうに声を上げて笑う乱歩さんはビー玉を取りだし空に向かって覗き始めた。

いつまでも手の平で転がされているようじゃたまらない。


『はぁ…』
「大変ですね、Aさん」


きっと誤解の溶けきってない谷崎くんに慰めの声をかけられるけど、まだまだ1日の初めだ。
腰を擦りながら目の前のパソコンを開き、またため息をついた。

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- 1話の太宰さんの下の方から潰された蛙の様な声がするで笑ってしまいました、笑 (2023年4月22日 14時) (レス) @page2 id: 74e0460151 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわありす(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます!私は正直なところ今まであまり乱歩さんを意識したことがなかったのですが、この作品で沼にドボンしました……有難うございます!お疲れさまでした。 (2023年4月9日 23時) (レス) @page42 id: d368e0b18f (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - 梅原さん» わわ、嬉しいです!一緒に乱歩さんの沼にはまり落ちましょう……!! (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - モンブランさん» わー!嬉しい!ありがとうございます💕なかなか喋らせるのに苦戦してます…笑笑 (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
梅原(プロフ) - アニメ見て乱歩さんいいなと思っていた時にこの小説に出会いました。久々に面白いものが読めてテンションあがりました。。。 (2023年2月20日 19時) (レス) @page32 id: ecb93650e6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小榛 | 作成日時:2023年1月8日 11時

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