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ゆっくりと目を覚ますとそこは、所謂会場のロビーのような所で豪華に装飾された天井が眩しく煌めいていた。
周りは正装や、控えめに着飾られたパーティドレスを身につけている人で溢れ返っている。
意識を失ってパーティ会場に?作家さんの異能力の線が高そうだ。幻覚?そういう感じでもなさそう。
「あ、目覚めた?はい、オレンジジュース」
『嗚呼、乱歩さ、乱歩さん?!?!…何ですかその格好』
そこには、シャンパングラスに注がれたオレンジジュースを二つ程持って、周りの人達と同じように正装で整った乱歩さんが立っていた。
正直凄い様になる。ワックスで半分だけかきあげられた髪が一気に大人の雰囲気を醸し出している。
似合う。
「結婚会場だからね。それを言うなら君もだろ?ほら、早く受け取って」
座っている私の体を見ると、シンプルな落ち着いたパーティドレスを身に纏っていた。先程から感じる身体の違和感は服の素材と、少し踵の高い靴のせいだったのか。
「あーあ!こういう何処って飲み物を探しに歩くだけで疲れるね!花の匂いもきつくて酔いそうだよ」
『すみませんわざわざ。さっきから臭うと思ったら花の香りだったんですね』
「新婦の方の名前に"蘭"って入ってるらしいよ、洒落てるよね、みーんな祝いの花は蘭の類だよ」
私の隣にぼふんと勢いよく座って得意の饒舌でペラペラ喋り始める。
乱歩さんが対して慌てていないし気にしていないという事は危険な状況とか、敵の異能力などでは無さそうだ。
にしては能天気すぎる気もするが……
「君の場合は二葉亭Aだからねぇ、皆子葉持ってくるんじゃない?どこに飾る?」
『そもそも花じゃないじゃないですか…!』
「あ、違う違う、君はそういえば女性だったね、苗字は旦那のが欲しいだろう?」
『そういえばは余計です!!』
何時になく上機嫌な乱歩さんは、グラスを片手に足を組み直したりして少しソワソワしているようだった。
「すみません、探偵の江戸川…乱歩さんでお間違いないですか?」
後方から白いタキシードを身にまとい、爽やかな笑顔を浮かべた好青年が、物腰柔らかく声を掛けてきた。
新郎だろうか。
「む、探偵じゃなくて名探偵!いかにも僕は江戸川乱歩だよ」
「それは失礼しました…!父がいつもお世話になってます!今日はわざわざありがとうございます」
ぺこぺこ会釈をする新郎さんに乱歩さんは椅子から立ち上がって不思議そうに云った。
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ゅ - 1話の太宰さんの下の方から潰された蛙の様な声がするで笑ってしまいました、笑 (2023年4月22日 14時) (レス) @page2 id: 74e0460151 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわありす(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます!私は正直なところ今まであまり乱歩さんを意識したことがなかったのですが、この作品で沼にドボンしました……有難うございます!お疲れさまでした。 (2023年4月9日 23時) (レス) @page42 id: d368e0b18f (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - 梅原さん» わわ、嬉しいです!一緒に乱歩さんの沼にはまり落ちましょう……!! (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - モンブランさん» わー!嬉しい!ありがとうございます💕なかなか喋らせるのに苦戦してます…笑笑 (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
梅原(プロフ) - アニメ見て乱歩さんいいなと思っていた時にこの小説に出会いました。久々に面白いものが読めてテンションあがりました。。。 (2023年2月20日 19時) (レス) @page32 id: ecb93650e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小榛 | 作成日時:2023年1月8日 11時