三話 ページ16
｢おはようございます、ウィリアム兄さん、A姉さん｣
ルイスがウィルの部屋へ入ってくる。どうやらダラムの人達に野菜を貰ったらしい。
｢この町も随分良くなりましたね｣
｢……それはどうかな｣
良くなった部分もあるが、実際はそうではないようで。ウィルの手にある新聞には、『酒場の踊り子 入水自 殺か？ 部屋にはアヘンも』と書かれていた。
｢確かに男爵の1件で目に見える闇は晴れた。…だから次は、目に見えない闇を晴らす｣
ダラム大学へ行き、次の授業の準備をする。画材を運んでいると、誰かがウィルの教室に入るのを見かけた。
授業後、ウィルに聞いてみるとどうやら生徒がずっと休んでいるようだった。その生徒はスコットランドの名家の長男。……何か、あったのではないか。そう思った私たちは、学生寮へ調べに行くことにした。
｢あの店の娘がスゴくてさ…っ！オレ、今夜も寮抜け出して……｣
そんな2人の会話が耳に入る。こちらへ歩いてくるようだ。彼らは、私たちがいること気づくと、どうしよう、という表情を顔にうかべた。
｢……えっと……あんまりハメを外し過ぎないでね……｣
私がそう言うと、彼らは元気に返事をし、足早に去っていった。
少し心配になっていると、後ろから声をかけられる。
｢ハハッ、お二人共、お顔が怖いですよ！ もっと愛想良くしないと！ ほらっ、え・が・お！｣
彼はウィルの知り合いらしい。ウィルが笑顔になると、そうそうそのお顔です！と嬉しそうに笑う。
｢もう大学とこの辺りには慣れましたか？｣
｢えぇ、良い所ですね｣
｢そうですとも！ ここダラム大には北イングランドの未来が懸かっていますからね！｣
ダラム大学は、貴族の長男を教育する場。そのため、貴族の寄付で運営されている。知の水準を保つことは、“ノブレス・オブリージュ”の一つでもあるからだ。
今会話をしている彼──ダドリーさんと言うらしい──は、病院や店をダラムで経営する大地主らしい。しかし本人は、自らを爵位も無い只の田舎地主と言っている。だから、何事も上手く立ち回らなければならないと言う。
｢講堂も、こっちの図書館も、あちらの教棟も、ぜーんぶ卒業された貴族様方からの
ウィルの顔から笑顔が消える。
｢ここは学生にとっての楽園なんです。いずれ彼らは地元へ戻り爵位を継ぐ……。それはある意味では不自由になるとも言えるのです。……それにロンドンと違ってここの警察は物分りがいい──｣
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わむ - 完結？ (2021年4月23日 19時) (
レス) id: 6836c6202c (このIDを非表示/違反報告)
黒こげスコーン(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます！ 今週土日には更新再開出来そうなので、頑張っていきます！ よろしくお願いしますね〜m(_ _)m (2019年7月11日 19時) (レス) id: 508af40629 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 面白くて一気によんでしまいました。受験勉強、大変でしょうが頑張ってくださいね。応援しております。 (2019年7月11日 9時) (レス) id: 1d9170a06b (このIDを非表示/違反報告)
黒こげスコーン(プロフ) - りとのおへやさん» コメントありがとうございます〜！！ もうそろそろ更新再開できそうなのでこれからもよろしくお願いします(｀･ω･´) (2019年7月5日 21時) (レス) id: 508af40629 (このIDを非表示/違反報告)
りとのおへや(プロフ) - 更新頑張ってください！ウィリアム大好きなんですよ！だからこの作品に出逢えたことに感謝です！めちゃめちゃ面白いです！ (2019年7月5日 21時) (レス) id: 534e38ce7a (このIDを非表示/違反報告)
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