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「ハァァァァ!!?」
銀時は顎が外れそうな勢いで叫んだのと一二三がAの頭にゲンコツを食らわせたのはほぼ同時だった。
「いい加減にしなさい!!タケノコ以外認めません!!」
「そこかよ!!師匠も大概頑固っスね!!」
Aに怒鳴る一二三の論点が未だお菓子の種類にあることに銀時は思わず突っ込む。すると次は銀時の方を向いて一二三は怒鳴った。
「君に師匠と呼ばれる筋合いは無い!!認めない!!」
「何で娘が彼氏連れてきたときの親父みたいな反応ゥ!?何本気にしてんすか!!つか俺コイツの恩人!!!何で怒鳴られてんの!!」
銀時に対してフンとやや怒りのこもった鼻息を鳴らしてから、一二三は暴れるAを米俵のように雑に抱える。
そして、机の上に並ぶ皿を数秒見つめてから、入り口の方へと声をかけた。
「秋彦」
「はい」
一二三が印象深すぎて銀時とお登勢は気が付かなかったが、外に待機していた青年が立っていた。
秋彦と呼ばれたその青年は、特徴のある顔立ちではないが、佇まいは推測される年齢よりひどく大人びている。
作業着だろうか、ところどころ汚れた作務衣を着ている彼は、店内に入るのを躊躇っていたのか、声をかけられてようやく中に足を踏み入れた。
秋彦は一二三の意思を察知し、手のふさがった一二三の懐から財布を取り出し、中から1万円札を取り出した。
しかしそれをみた一二三はやや不満そうにする。
「お前が出してくれてもいいだろう。なにもわざわざ俺の財布から出さなくても」
「俺、金欠なんすよ。それにコイツだってアンタの弟子でしょう。だったらアンタがケツ拭いてやってください」
口を開くと、纏う空気感とは一変してフランクな話し方だった。
その一万円札をカウンターに置くと「迷惑をおかけしました」と二人で一礼した。
「では。朝から失礼した」
そう言って二人は立ち去る。肩の上のAは未だ不満そうだが。
店外へ二人が出て、戸が閉められた後もお登勢と銀時の耳には口論が聞こえていた。
「やめろ!!タケノコハゲ!!」
「いい加減にしなさい!たけ●この里が一番美味しいんだ!」
「んなわけないでしょ!!燃やすぞアンタの部屋のたけ●この里の山!!」
「やめろ!!分かったからもう!き●この山も買ってやるから!!」
「本当!?ありがとうハゲ!!」
その声が遠ざかって内容が分からなくなったころ。控え目にそろりと開く扉。
「な、なんなんすか。今の」
顔を引きつらせた眼鏡の少年、志村新八がそこにはいた。
「何って……」
頭を抱える銀時。
――――そんなの、俺が知りたい。
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2020年10月10日 22時