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「ただいま〜!!ふぅ〜重たかった〜」
「オイ静かにしろって!父ちゃん寝たばっかなんだから」
大きな音を立てて扉を開けるや否や大声を出すAを、銀時は慌てて止める。
少し前から眠そうにしていた彰寿は、数分前ついに眠ってしまっていた。
「父ちゃ……あぁ、彰寿さんね。大丈夫。彰寿さん一回寝たら朝まで何しても起きないから」
「それよかこれ冷蔵庫に入れるの手伝って〜」とAは入り口でもたもたとしている。
その袋の数を見て、そんなに買うなら自分のことも連れて行けば良かったのにと心の中で毒づいた。
それにしても本当に"父ちゃん"と言ったのをやんわり否定されたのを見る限り、先程の彰寿の言葉が本当だったと思わざるを得ない。
そのことについて悲し気な目で語る彰寿を知っている銀時としては、それは残酷に思えてならない。
「え、ちょっと。なにボサッとしてんのさ」
そんな銀時の心内を知らないAは銀時に手伝う意欲が無いと思ったのか、不満げな目でこちらを見ている。
「お前が勝手に一人で出かけたんだろうが。そんなに買うなら俺つれてきゃ良かったろ」
「何よ。あたしが気遣ってあげたんじゃん。銀さんが私のこと知りたいっていうから」
「まあそれに関しては色々と聞けたよ」
「でしょ?感謝したまえよあたしにな」
「うるせーよ。つーかさ、俺の本来聞きたかった最近何かあったのかってことが全然聞けてねーんだけど。昔話しかしなかったぞあのジジイ」
「あー……もう歳だから昔話がすきなんだよ……」
「全く、歳はとりたくねーもんだな」
「本当だよね」
苦笑いをするAが持ち上げていた袋は、一瞬にして軽くなる。それはいつの間にか銀時の手にあった。
目を丸くするAに銀時は「座っとけ。疲れてんだろ」と。
「え、うん。あ、ありがと。紳士だね〜」
「男として当然だよ。弟子仲間はしてくれねェの?」
「してくれないしてくれない!あいつらさーマジであたしをレディと思ってないの。失礼しちゃうよね本当」
「急に家出したり袴着て出かけたりしてるあたり見ると妥当っちゃ妥当だけどな」
「急に裏切ってくるのやめてよ」
銀時がおおよそ食材を冷蔵庫に詰め終わった後、Aは立ち上がった。
「よし、じゃあパパっと作っちゃうわ。せっかくだし銀さんも何か食べる?」
「いいのか?」
「いいのいいの。力仕事してもらっちゃったしね。休んでてよ」
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2020年10月10日 22時