【銀魂】能ある鷹は【坂田銀時】 (ページ41)

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「銀さーん。あたしちょっと出かけてくるから」

「は!?」

「作り置きのおかず今日作っちゃいたいから。買い物行ってくるわ。彰寿さんのことお願いね」

「お、おまっ……んで初対面の男二人で置いてくんだよ鬼かテメーは。お見合いじゃねーんだぞ」

小声でそうAに耳打ちするが、それに対してAも小声で「それじゃあとは若いお二人で……」と悪ノリする。
青筋を浮かべて「オイ」と唸る銀時に、Aは付け加えて耳打ちする。

「あたしについて知りたいことがあるんなら彼に聞いた方が早いよ。あたしよりあたしのこと知ってるから」

「んなこと言ったって……なんで俺初めて来た友達の家で親と2人きりにされなきゃいけねーんだよ!!だいたい俺は最近お前に起こったことを聞きに来ただけでじいさんの話し相手しにきたわけじゃねーんだぞ!!」

小声でそうまくしたてる銀時に「あーもううるさいなぁ」と毒づくA。

「ごちゃごちゃわがまま言わないで。早く買い物行かないと帰り遅くなっちゃうじゃん。そんじゃあたし行くから」

ふん、と顔を背けて出て行ってしまうA。Aの背中に伸ばした腕も虚しく、ピシャリと閉じられた扉に銀時は絶句する。
そんな銀時に彰寿は遠慮がちに声をかける。

「あの……銀時さん。よろしければこちらにきてお話してくれませんか?」

「え、あぁ」

「どうぞこちらの椅子に。遠いところからいらしてくださったんですし、お疲れでしょう」

その穏やかな声に導かれるままにベッドの隣にある丸椅子に腰掛ける。
特に話題もみつからず、「あ～今日いい天気すよね～」と苦し紛れに天気の話題を繰り出す銀時に、彰寿はふふふと笑った。

「銀時さんは優しい方ですね。ごめんなさい、うちのが無茶なお願いをしてしまって」

「いやぁ別にそんなこと」

「謙遜なさらないでください。あの子が私のところに人を連れてくるなんて、中島さん以来なんだ」

"中島さん"というのは一二三のことだろうと銀時はすぐに察した。そりゃあ噂通りなら10代の娘を弟子として貰うのに保護者に会っていないのは不自然だし、当たり前といえば当たり前だ。
それにしても自分以外に一二三しか会いに来たことがないとはどういうことだろうか。秋彦とはあんなに親しそうなのに。

「たぶん弟子入り先の様子を私に知られるのが恥ずかしいんでしょう」

そう彰寿は笑う。