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「悪かったと思ってるんだよ。あたしが嫌いなのは天人であって神楽じゃない。最近プライベートでいろいろとあってね……ちゃんと線引きが出来てなかったの。悪い態度を取ってしまってごめんなさい」
先程の不気味な様子はすっかり消え、落ち着いた声でAは頭を下げた。
「なんで天人が嫌いアルか」
「え、普通そんな踏み込んだ質問この関係の浅さでする?」
「それ答えたら今までの事チャラにしてやってもいいアル」
Aは数秒うーんと考えるフリをしたが、チャラにするしない以前に答えないと神楽がトイレから出してくれないことを察して、諦めて口を開いた。
「あたしの両親、攘夷戦争で天人に殺されたの」
***
「万事屋銀ちゃん」に依頼がしたい。
秋彦のその申し出は2人には予想外のものだった。
「で、どんな依頼だ」
最初に平常心に戻ったのは銀時だった。
秋彦は淡々と話し始めた。
「この間、猫探しをしているあなた達を見て探偵業のようなこともやっているという認識なんですが、間違いないですか?」
「あぁ。依頼さえ貰えればな。こちとら何でも屋なもんで」
「じゃあAについて調べて貰えませんか」
その言葉に新八は思わず「えっ」と声を漏らす。
だって一番彼女のことを理解しているのは中島一二三か秋彦含む一二三の弟子達じゃないのか。なぜそんなことを外部の自分達に調べさせようとするんだ。
「あいつについて何が知りたいんだ」
銀時は平静さを崩さずに話を続ける。
「A、最近なにかあったと思うんすよ……予想ですけど、天人関連で何か。いままで天人相手にあんな態度をとることは無かったんです。何か思うことはずっとあったのかもしれないすけど、あんなに敵意を見せることなんて無かった」
あんな態度というのは初対面の時の神楽に対しての態度のことだろうと2人は容易に予想できた。
でも、それを依頼する理由にはいまいち納得いかない。
「きになるんならコソコソ調べずに自分で聞きゃあいいじゃねーか。弟子仲間なんだろ」
「探りを入れてみようとしたけど流されたんすよ。その時の様子も変だったし、聞かれたくないことなんだと思います」
「ならなおさら依頼しない方がいいんじゃねーのか。知られたくないことについてコソコソ嗅ぎまわられるなんて、アイツも良い気しねーだろ」
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作者名:mire | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/456/0601kamui330/
作成日時:2020年10月10日 22時