その背中に触れたい【虎杖悠仁】

15.会敵 ページ16

ジャージに着替えて先輩たちと練習中
真希さんに飲み物を頼まれ
伏黒と野薔薇ちゃんの3人で
自販機に買いに来ていた


「自販機もうちょい増やしてくんないかしら」

『ね、ちょっと遠い』


言われた飲み物を一つずつ買っていると、ガタイのいい男と背の高い女の人が急に話しかけてきた


「なんで東京にいるんですか禪院先輩」


どうやら女の人は
真希さんと姉妹？らしい


「アナタ達が心配で学長についてきちゃった
同級生が死んだんでしょう？
辛かった？それともそうでもなかった？」


(…なんだこいつ)


「…何が言いたいんですか？」


「いいのよ
言いづらいことってあるわよね

“器”なんて聞こえはいいけど
要は半分呪いの化け物でしょ

そんな穢らわしい人外が
隣で不躾に“呪術師”を名乗って
虫酸が走っていたのよね？

死んでせいせいし…ぐっ
ちょっと何、よ！」




考える前に先に手が出て
そいつの胸ぐらを掴んでいた

呪力がこもりそうになるのをどうにか抑える


悠仁はとても優しい人だから
こういうことをもし面と向かって言われても
言い返しもしないんだろうな

だから代わりに私が言ってあげる




『てめえ、頭沸いてんのか
人間性どこに置いてきた大丈夫か？』


「あ、なたこそ
どんな親に育てられたら
手が先に出るのかしら」


そう言いながら懐に伸びた手が
銃を取り出そうとしているのが見え
銃だけを思い切り蹴飛ばした


「な…！！」


『お前もう喋んな
きしょすぎて吐きそうだ』


そのまま手刀で首根っこを叩き
気絶させた




『喧嘩売る相手は用心して選べよクソアマ』

「あーあ、やられちまったよ」

「あんなキレてるA初めて見た…」

「俺もだ」

「伏黒も？」




先に手を出しちゃったの私だから
これ先生達に見られたら
確実にこっち側のせいだなー


と思いながらも
腹の底の怒りが収まりそうにない



『…ちょっと頭冷やしてくる』

「…ああ」



伏黒の返事を背中にききながら
私はその場を後にした









しばらくしてあいつらが帰り
戻ってきてみると
伏黒が怪我を負ったらしく
練習の続きはまた後日となった


医務室に伏黒の様子を見に行く



『伏黒…大丈夫？
私が先に手出したせいだよね…
ごめんね…』

「いや、そうじゃねえ
お前こそ大丈夫か」

『え？あーもう大丈夫
はは、引いた？』

「…引いてねえ」

『無理しなくていいよ』

「…大切な奴が侮辱されたら
キレるのは、普通だ」

『……ありがと…』

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