その背中に触れたい【虎杖悠仁】

12.守りたいもの ページ13

「どこよここ！」

『あ、よかった野薔薇ちゃん！』

「A！あんたも沈んだのね」


すぐ近くで野薔薇ちゃんの声がして
とりあえず生きてるのが確認できてよかった


『！いる。』

「うん」


呪いの気配がして
チャキッと鯉口を切り、臨戦体制に入る


そのおびただしい気配の数に振り向けば
数えきれないほどの呪霊が浮かんでいた





(数は多いけど、こいつらは特級じゃない

…だとするともしかしたら
悠仁と伏黒のところに…！)


刀を握る手に冷や汗が滲み
心臓が嫌な音を立てて胸を叩く



悠仁

悠仁が…



不安でいっぱいの気持ちを抑え
刀を握り直した

今この場を離れたら野薔薇ちゃんが危ない



『私は右を片付ける
野薔薇ちゃんは左ね』

「了解！」


『貌好花(かおよばな)』


(悠仁、どうか無事でいて…！)






─────────
────
─…



どれくらいの時間が経っただろう


お面のような呪霊は
もう少しで殲滅できそうな

その瞬間に


『野薔薇ちゃん！！』

「うぐっ」


野薔薇ちゃんの顔面に呪霊の攻撃が直撃したのが
視界の隅で目に入った


庇うように前に切り込み
一刀両断する



「…ご、めん、ありがと
ちょっと油断したわ」

『血が…！』

「このくらいどうってことないわよ」

『…っ』


そう言う野薔薇ちゃんの目からは血が出ていて


「！うしろ！！」

『はあああっ！！！』


辺りの呪霊を使える限りの力とスピードで
掻っ切っていく



(大丈夫だよ野薔薇ちゃん
絶対絶対、これ以上傷つけさせたりしないから。)



守りたい

守りたい人を
ちゃんと全員守りたい



私はそのためにここに来たんだ






残り最後の一匹

(とらえた！)

と思ったその瞬間
呪霊の腕が伸び脚を掴まれ
壁に思い切り打ち付けられた


『がはっ…！』

「A！！」


呪霊は標的を野薔薇ちゃんにかえる


「オマエ、顔覚えたからな
絶対呪ってやる」

『だ、め…！手出すな！！』



この体じゃさっきのスピードは出ない
野薔薇ちゃんが食べられてしまう…！！



その時に見覚えのある大蛇が出てきて
野薔薇ちゃんと私はカエルの口の中へ
避難させられた


これは…


『伏黒！』



あ、れ？
でも悠仁の姿が見えない



『悠仁は……』

「俺たちはまず先に
この領域から出る」

伏黒は私と目を合わせないまま
玉犬が先導する抜け道を走った

『だめ、…だめだよ
伏黒！出して！！』


「だめだ」


『伏黒！！！』


「だめだ！！！！」

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