【ヒロアカ】緋色の君はいつも、2 (ページ9)

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9.傷つける覚悟ページ9

終礼が終わりみんなぞろぞろと教室を出る

私もリュックを背負い帰ろうとすると
鋭ちゃんに声をかけられた

「Aちゃん、久々一緒に帰ろーぜ！」

『鋭ちゃん…うん。』

ここで断っても変かなと思い承諾した

二人で話しながら帰路をたどる

こうやって鋭ちゃんと肩を並べて歩くのは
そんな前のことでもないのになぜか懐かしく思えた

「Aちゃん職場体験どうだった？」

『楽しかったよ。色々勉強になったし…』

「誰のところ行ってたんだっけ」

『サー・ナイトアイのところ。鋭ちゃんはフォースカインドだったっけ。』

「そーそー！
やっぱあれだな！プロを目の前にするとちょっと気迫に圧倒されるというか」

『わかる。幾たびもの苦戦を乗り越えてきたんだな…！って思うよね。』

「そーなんだよ！！
やっぱプロってすげえ、あーなりてえって思っちまうよなあ」

久々だな
鋭ちゃんとこんな風に喋るの

すごく楽しいけど、それと同時に
私の胸の奥はずっとキシキシと痛んだ

「そーいや、職場体験中緑谷からいきなりメッセージきてびびったよな。
俺念のため通報したけどほんとやっといてよかったわ…」

『あ、そっか通報すればよかったのか。』

「え」

『え？』

「まさか向かったのか」

『あー、うん。なんか行けない距離でもなかったし…』

鋭ちゃんがいきなりすごい真剣な顔になって
私を見てくる

え、何

何ですか

すると私の両肩を掴んだ

『わ…！』

「あの3人だけかと思った…！
Aちゃんはどこも怪我してねーよな！？」

『え、いや、私が着いた時にはもう既に色々片付いてたから、何ともなかったよ…？』

「ほんとにか？」

『ほんとだよ』

しばらく私の目を見た後
鋭ちゃんは大きく息を吐き、私の両肩から手を離した

「…よかった……」

心底安心したような顔でそう呟く鋭ちゃんを見て

私はたまらなくなる

『…何でそんなに心配してくれるの…？』

現に今、私は生きてるし、体も何ともなくここにいるのに

「そりゃするだろ！！

……好きなんだから…心配くらいさせろよ…」

鋭ちゃんは少し苦しそうな顔でそう言った

ああ、

私は、こんな優しい彼を

傷つけないといけないんだ

思わず鋭ちゃんから目を逸らした