【ヒロアカ】緋色の君はいつも、2 (ページ32)

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31.意識２ページ32

その日の夜

お風呂を済ませた後
私はみんなが上がるのを待っている間
部屋からギターを持ち出して共用スペースのソファに座り、てきとうに弾いていた

「あれ？Aちゃんお風呂上がるの早いな
って、それギター？
Aちゃんギター弾くんだ！かっけー！」

『えっ、いちゃん』

今日のお昼のこともあり多少気まずかったが
鋭ちゃんはナチュラルに私の隣に腰かけた

『私、個性上すぐのぼせるから…』

「ああそっか、そうだよな」

思ったより距離が近く
お風呂上がりで火照っている鋭ちゃんの体温がこちらにも伝わってきて
心臓の打つ音が少し駆け足になる

(な、何か話を、あっ)

『て、ていうか鋭ちゃん
髪の毛下ろしたら別人みたいだね
一瞬誰かわかんなかったよ』

「あー、爆豪にも同じこと言われたわ」

鋭ちゃんは少し笑って自分の髪の毛を触る

(いつもセットしててわかんなかったけど
結構髪長い…)

長い髪からチラチラ覗く
目とか耳とかに胸の辺りがざわざわした

(髪を下ろすだけでこんなに雰囲気変わるんだ…
なんだか、今の鋭ちゃんはちょっと
色っぽ、)

「なあAちゃん歌は歌わねーの？
弾き語り聴きてえ！」

『ぅえっ！？
あ、ああうん、歌ね、歌
いいよ』

「だ、大丈夫か？」

『大丈夫、大丈夫。ごめん』

(私今何を考えて、
いや、何も考えてない
知らない私は何も知らない)

そして鋭ちゃんのリクエストに応えて
お気に入りの、しっとりした感じの曲をワンコーラスだけ歌った

「すげえ…めっちゃ落ち着く
Aちゃん歌もギターも上手いんだな」

『いや、このくらいなら誰でもできるよ』

そんなこと言いつつも
歌ってる間、鋭ちゃんはすごく幸せそうな顔をして聴いてくれていて
ほんとはとても嬉しかった

「そんなことねーだろ
Aちゃんの歌声俺すげえ好き」

『あ、ありがと…』

大真面目な顔で言わないで欲しい
嬉し恥ずかしぬ

「てかギターって難しくね？
この、指で抑えるの大変じゃねーの？」

鋭ちゃんがコードを抑える手の形を真似しながら言う

『最初は結構大変だった
私人より手がほんと小さいし…』

私が自分の手を見ながらグーパーする

『鋭ちゃんほど大きかったら、幾らか弾きやすかったかも』

「俺そんなに大きい方じゃねーけどな」

鋭ちゃんも私の真似をしてグーパーした

『ねえちょっと大きさ比べしてみようよ』

「ん？いいぜ」