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67話 ページ22

『ふぅ……お腹いっぱい……
本当に有難う御座います!』

すると太宰さんは安心した様に微笑んだ。
それから少し心配そうに尋ねてきた。

太宰「ところで、体の具合はどうだい?」

『はい、すっかり良くなりました!』

そう元気一杯に答えた私を見て、太宰さんは少しキョトンとしてからクスッと笑った。

太宰「否、元気そうで良かった。」

そんな太宰さんを見ると、私も凄く幸せな気持ちになった。
然し太宰さんはふっと笑い声を消し、少し寂しそうに私を見た。

『太宰さん……』

『どうしたんですか?』と云い掛けて、私は言葉を抑え込んだ。
太宰さんにだって、云え無い事情位ある。
この前だってそうだったじゃん。

代わりに私は太宰さんに向かって、一寸冗談めかして云った。

『太宰さん!
何か元気が無さそうですけど、私の元気を分けて上げましょうか?』

すると太宰さんは、少し驚いた表情をしてからふっと微笑んだ。

太宰「そうだね……。
少し、分けて欲しい……」


本当は冗談の心算だった。
けれど、其の時の太宰さんの表情が余りにも儚く、切なく……
此処で手を伸ばさなければ、今にも消えて仕舞いそうだった。
だから私は、其のまま黙って太宰さんに抱き着いた。
自分のエネルギーを分け与える様に、ぎゅっと……

少し間があって、太宰さんも私の背中に優しく手を置いた。
そして、私の全てを包み込む様に、そっと……そっと、私を抱き締めた。

そんな2人を繋いでいる何かは、とても儚く……陽だまりの様に優しく、温かかった。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 太宰治 , 咲姫   
作品ジャンル:アニメ
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咲姫(プロフ) - 紅夏さん» わああああ!楽しんでもらえてめちゃくちゃ嬉しいです(><)ありがとうございます!!これからも頑張ります!! (2018年5月5日 9時) (レス) id: 53214a536b (このIDを非表示/違反報告)
紅夏 - 太宰さんんんんん!面白かったです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2018年5月4日 21時) (レス) id: 1b04687fdb (このIDを非表示/違反報告)
咲姫(プロフ) - ジュリさん» ふぁあああありがとうございます!期待に応えられるよう、更新めっっっっっっっっっっっっっっちゃ頑張ります! (2017年11月25日 11時) (レス) id: 88671b77e8 (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - グバッ・・・ウヒョーーーー!!最高でしたよ!(≧∀≦)/更新めっっっっっっっっっっっっっちゃ楽しみにしてます!双黒かっこいい! (2017年11月25日 10時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
咲姫(プロフ) - 三毛猫さん» 語彙力……ですか……!?自分では語彙力ないと思っているので、そう言ってもらえるとすっごく嬉しいです!ありがとうございます! (2017年11月13日 6時) (レス) id: 88671b77e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:咲姫 | 作成日時:2017年4月10日 22時

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