ころんに”ばか”って言われたい。

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「Aー、お弁当食べよっ！」


『えぇ…』


「うっわ、嫌そうなの丸わかりなんですけど」


『そりゃあそうでしょ。わざと顔に出してるんだし』


「はぁ！？」


ころんに腹パンされそうになり、綺麗に交わす。

すると拗ねたのか、ばかっとぼそりと呟くころん。

キレるのも早いし、冷めるのも早いし。

こいつは、一生私に勝つことはないだろう。

なんて心の中で笑ってやった。


『ころん、毎回卵焼きうばってくるじゃん』


「Aの卵焼きは、僕のもんだから」


『私のものなんですけど…』


「だって、美味しいんだもん。Aの卵焼き」


何故か、私の手作り卵焼きを気に入っているらしい。

別に美味しく作ろうとしてるわけではないのだけど。

そんなに、自分に料理の才能があるのだろうか。


『まあ、一緒に食べてもいいけど、屋上ね』


私は校舎の上の方を指さして言った。

ころんは、困った顔でやだと言ってきた。

どんだけ文句があるんだ、この猿は。

せっかく一緒に食べてもいいよって言ってるのに。


「屋上寒いじゃん…」


『寒くない！秋なのに半袖で来た自分に怒ってくれない？』


秋はすぐに寒くなってくる。

私はちゃんと、寒さ対策で長袖で来たのに。

半袖でくるとはなんと非常識なんだ。

小学校で冬でも半袖のやつはいたけども。


「ぶー！わかったよ！」


ころんは吹っ切れたように、私を追い抜かしていった。


「早く来ねーと、先行くぞー！」


『ちょっ、おい待て猿！』


「猿じゃねーよ！ばか！！」


勢いよく、屋上に続く階段を上っていった。

ドアを開けると、そこには誰もいない。

まあ、その方がいいんだけどね。


「よし、食べるか」


『食いつき早すぎ』


「しらね」


ころんは、もう弁当を開けて食べ始めているところだった。

いくらなんでも早すぎやしないか？

超能力者かよ。

あ、猿だし、超能力猿か。

言い換えるのめんどくせーな。


「俺も混ぜてやー」


『わあぁ！！』


ジェル先生の声が突然聞こえてきた。

あまりにもびっくりして、かん高い声を上げてしまった。


「え、そんな驚くことないやろ」


『いや、肩ぐらい叩いてくださいよ』


「突然肩叩かれても怖くね？まぁー関係ねーわな」


「なんでジェルがここにいんだよ」


「ええやん別に。生徒と食べちゃいかんなんて、校則にはないやろ？」


『まぁ…ないですけど』


「ならええやん」


いや、屋上にいることのを見つけた、ジェル先生怖すぎない！？

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