【す.と.ぷ.り】偽装少女【さ.と.み】

困惑 ページ16

私は、そのまま家へ帰っていった。


・・・まだ胸がバクバクしてるけど。


『ただいま』


あれ、お母さんの声がきこえないんだが。


『お母さん？』


耳をすませると、お父さんの部屋だったところから物音が聞こえる。


・・・怖いけど。


「ガチャ」


『おっお母さん！？やめてっ！』


お母さんは、お父さんの大切にしていたものたちをどんどんと投げ壊していた。


幸い、私の家は、一軒家で周りの人には迷惑をかけていなさそうだが。


『どうしたの！？やめてっ！』


私は、お母さんの手を取って、動かさないようにする。


・・・一旦とまったかな。


『突然どうしたの！？』


母「父がいけないの！？あの人のせいで私は・・・っ！」


お母さんの言っていることがわからなかった。


『どういうこと？』


母「遺産を全部乗っ取られてしまった。」


『えっ？』


遺産って、この前死んでしまったおじいちゃんの遺産のことだよね。


母「あの人は、私たちに負担をかけさせてそのまま遺産を持って行ったのよ。」


『そうだったの？』


母「・・・あの人のことが許せなかった。」


『・・・。』


母「もうやだ。」


『とりあえず、かたずけよう？』


母「・・・ええ」


お父さんがそんなことをしているなんて一つも知らなかった。


お父さんのことを愛していたからこそ。


お母さんは悔しかったんだろうな。


こんなことされて。


私も同じことなのかな。


最初は、いい友達だと思って接していたのに。


いつのまにか、いじめられる側になっていた。


もう、こんな世界なんていやになっちゃうよね。


私は、静かに散らばっているものを片付けた。

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