貴方と共に果たす復讐【荼毘】 (ページ15)

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『似てる...』

まさか荼毘さんの方からそう言ってもらえるとは思ってもいなかった。

荼毘「あァ、Aもそう思わねェか？」

『思い、ます』

荼毘「だよなァ」

そう言って荼毘さんは満面の笑みをこぼす。

それは少し怖いくらいで、だけど本当に心の底から笑っているように私には見えた。

私はようやくおさまった涙を服の袖で拭く。

荼毘「A。俺おもしれーこと思いついたんだけど」

笑っている顔を崩さずに荼毘さんはこう言った。

荼毘「俺と一緒に、ヒーローに復讐しないか？」

『ヒーローに復讐、ですか？』

もとから親には復讐しようと思っていた。

でも、ヒーローに復讐するのは少し違う気がする。

大嫌いということに変わりは無いけど、それでもヒーローはこの世界に必要だと思っていたから。

荼毘「ヒーローは苦しんでいるAを助けてくれなかった。そうだろ？」

荼毘さんが話しながら悩んでいる私の肩に手を置く。

荼毘「ヒーローがAの傷に気がついて助けていれば、こんなに苦しむことはなかった」

言っていることに、間違いはない。

だけど、

荼毘「Aがこうなったのは、半分親、半分ヒーローのせいだ。俺はそれを許せねェ」

そして最後に、私の耳に口を近づけてこう言った。

荼毘「Aは、許せるのか？」

＿＿＿ふと、頭の中に昔の自分がフラッシュバックする。

「ひーろーなんて、いなくなっちゃえ...」＿＿＿

『許...せない、です』

そうだ、親とおなじくらい私はヒーローも憎いんだ。

ずっと昔からそうだったじゃないか。

なんで私は今までヒーローを復讐対象から外していたんだろう。

ヒーローも、私を傷つけたことに変わりないのに。

『荼毘さん』

私は目の前にいる荼毘さんをまっすぐ見つめる。

『共に、復讐を果たしましょう』

すると、荼毘さんは私を抱きしめた。

荼毘「そう言ってくれて嬉しいよ」

顔は見えないが、声の調子で喜んでくれているのだろうとうっすら感じる。

荼毘「一緒にやり遂げような、A」

少し、抱きしめる力が強くなったような気がした。

＿＿まるで、逃がしはしないとでもいうように。