貴方と共に果たす復讐【荼毘】 (ページ14)

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『じゃあ、次は私が質問していいですか』

まだ温かいコーヒーを少し口に含んで、荼毘さんの方を見やる。

あまり答える気は無いのか、荼毘さんはおーと軽く返事をしただけだった。

『なんで、連合に入ろうと思ったんですか』

関係ないと突き放されそうだと思いながらも、私は不思議に思いながら聞く。

連合に入ろうと思う人は、ただのヴィランじゃない。

きっと何かやり遂げたいことがあるからここに来たんだろう。

そしてそれは、荼毘さんにも当てはまる。

しばしの沈黙のあと、荼毘さんは何かを決めたような面持ちで話し始めた。

荼毘「わかっちゃいると思うが、"荼毘"は俺の本名じゃない。俺の本当の名前は、」

荼毘「轟燈矢」

『どとろき...』

どこかで耳にしたことのある名前だと思い、必死に思考を巡らす。

轟、轟、とどろき....。

暫くしてから、この間やってた雄英体育祭のときに同じ苗字の人がいた事を思い出す。

結構強かったけど...でもそれに、何の関係が、

荼毘「俺は、ヒーローであるエンデヴァーの息子だ」

『ｯ！エンデヴァーの！？』

まさか、荼毘さんの親もヒーローだったなんて。

私は驚きを隠せなかった。

荼毘「細けェことは後々話すつもりだが...、実は俺の個性は自分の身体と相性が悪くてな。それでも必死にがんばってエンデヴァー＿＿お父さんに認めてもらおうとした」

荼毘「でも俺は失敗作だった。その後に生まれた焦凍は個性にも身体にも恵まれて、だんだんと俺を見なくなって、そして俺は見捨てられた」

焦凍というのはあの雄英生のことだろう。

荼毘さんは今にも爛れ落ちそうな皮膚に触れ、また口を開く。

荼毘「俺は自分で起こした山火事に巻き込まれて死んだってことになってる。まぁ、実際は何とか生き延びて今ここにいるんだけどな...ってオイオイ、泣く程かよ」

荼毘さんの手が頬に触れて、ようやく自分が涙を流していたことに気づく。

話の内容もそうだけど、荼毘さんの目。

話しながら隠そうとしていたのかもしれないが、とてもとても悲しい色をしていた。

それと、

『ご、めんなさ...っ。なんか、急に、』

＿＿＿荼毘さんには申し訳ないけど、過去の自分と重ねてしまっていた。

親がヒーローで、日々を過ごしていく度に身体の傷が増えて、でも誰も助けてくれなくて。

終いには、｢死んだ｣という記録だけが残って。

荼毘「似てるよなァ、俺たち」

そう呟いて、荼毘さんは親指で私の目に溜まっていた涙を拭った。