ノーは要らない/rbr ページ2
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「姉ちゃんは今日もかわええなあ」
そう言って私の胸に顔を埋めるロボロにおずおずと声をかける。
「あの、ロボロ……」
「姉ちゃん？ 早く撫でてや」
感情を読み取れない瞳でロボロはこちらを見つめる。深淵を宿したような目が怖くて、大人しく頭を撫でた。
「姉ちゃんはいつもやわこいなあ」
そっと人差し指で体のラインをなぞられ、ぞわりとくる。形容しがたい感覚から逃げるように背筋を伸ばすと、胸を張るようになってしまい必然的に胸をロボロを押し付ける形になった。
「積極的やな」
分かっていてやったくせに。キッと睨めば、見たくないとでも言いたげに目を手でおおい隠される。
「姉ちゃんは常に俺のことを好きやないとアカンの。わかる？」
視界が遮られているため、ロボロがどんな表情をしているかは分からない。しかし、温度を感じられない声から、怒っているんだろうなと推測する。
「姉ちゃんは俺のことなんて睨まない」
口を開けば姉ちゃん、姉ちゃんって、私を姉と呼ぶくせに、姉弟ではしないことを普通にするロボロが理解できない。
「……ロボロはさ、私になにを求めているの？」
「再三言うとるやろ？ 俺のことを全部肯定して、俺のことを好きでいてって。俺の姉ちゃんならできるやんな？」
「でもロボロ、」
私はロボロのお姉さんじゃないよ。
そう言った瞬間、腕を掴まれて力任せに押し倒される。
「俺を否定するん？」
「事実だよ」
私とロボロに血縁関係はない。もちろん法定血族でもない。血縁上でも戸籍上でも、私たちは赤の他人だ。
腕に込められた力が強くなる。
「違う。姉ちゃんは姉ちゃんで、俺だけを好きで、いつも頭を撫でてくれるし俺のしてくれることはなんでも許してくれる」
「ロボロ、私は……」
「うるさい！」
声を荒らげてロボロは私の口を手で抑える。
「俺を否定するなんて姉ちゃんやない」
口元にあった手が下へ移動する。そして私の首に手を添えた。躊躇いなど感じなかった。
「待って、ロボロ」
「姉ちゃんは俺の姉ちゃんやんな？」
「そう！ そうだから！ ロボロ、やめて」
首に手を置かれたまま言うものだから、ここで否定をしたらなにをされるか想像はつく。
「うんうん、やっぱりそうやんな。安心したわ」
手が離れて、私はやっと自分が息を詰めていたことに気づく。
「じゃあほら、俺の頭撫でてや」
結局、振り出しに戻った。
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作者名：脳内お花畑
| 作成日時：2024年1月19日 19時
