35話 ページ37
「わぁ…」
幼子の様に目を輝かせ、感嘆の声を漏らしたA。
…本当に普通の女の子だな。
蛍は表情を緩めてAを見た。
キラキラと光る、髪と同じ色の瞳は、水槽の向こうの魚達を映している。
蛍がその姿をじっと見つめていると、視線に気付いたAが「…なんだよ」とばつが悪そうに聞く。
「別に?」
「何も無い顔じゃないんだよ」
ぺしんっと軽く叩かれたのはきっと照れ隠しだろう。その証拠に髪の隙間からちらりと覗く耳が赤く染まっていた。
「…トイレ行ってくる」
「行ってらっしゃい」
Aの小さな背中が見えなくなったのを確認して口を開く。
「ねぇ、なにしてんの?君たち」
ビクッと肩を跳ねさせた影。
潔く出てきた4人に、分かっていても顔を顰めた。
「なんで分かったのツッキー!?」
「うるさい山口。…あのさぁ、サングラス付けた変な四人組が視界の端でずっとチラついてたら気付かない訳がないよね?…で、何か言いたい事は?」
「はい!月島くんが表情筋ゆるっゆるで見てて凄い気味が悪かったです!」
無言で日向の下痢ツボを押した。いつもより力強く。
周りから見てもあからさまに浮かれてるとかほんとダッサ…。
「誰が馬鹿正直に答えろって言った。このチビ。もっと縮みたい訳?」
「いってぇ!そこ下痢ツボ」
そんなやり取りをしていると、つん、と控えめに背中を突付かれた。
バッと振り返ればAがこちらを見上げていた。
心無しか眉間に皺が寄っている気がする。
「…ここ、公共施設。あと身長縮めるのは可哀想だろ」
4人を見回した後、僕の服の裾をちょんと摘んで引っ張り、「…皆と仲良くなるのはまた今度」と言って進んでいく。
「…今日は、その、デート、なんだろ」
皆が見えなくなった後、ふいと顔を背け、耳を赤く染める姿に心臓が酷く締め付けられる。
さっき不機嫌そうだったのってもしかして…。
いつの間にか裾から離されていた手の甲が自分の物と触れ合い、指を絡める。
やはり、少し驚いたようにこちらを見た。
「…なに?嫉妬でもしたの?」意地悪く言えば、ぷいっとそっぽを向いて「…別に。約束を反故にされた気分になっただけだ」と拗ねたように言われた。
それから少し経って、覚悟を決めたようにAがこちらを見上げて口を開いた。
「…なぁ、私の話聞くか?」
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まみこ(プロフ) - さくにょさん» まじでそれな……。パスワード制にもう一度して、知りたい人に「メッセージ」として送ればいいんじゃないかな……?そうすれば荒らし減りそう。 (2023年2月25日 16時) (レス) id: 2e6caf5e65 (このIDを非表示/違反報告)
もか@無気力(プロフ) - さくにょさん» ありがとう!!!コメントめっちゃ嬉しい…!!!さくにょちゃんも頑張って!!! (2023年1月29日 15時) (レス) id: 611339ddb1 (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - なんでこんな心情描写も仕草も全てが綺麗に描写された作品が伸びないのか・・。もかお姉ちゃん!!応援してるよ! (2023年1月29日 15時) (レス) id: b15bd042db (このIDを非表示/違反報告)
もか@無気力(プロフ) - モモさん» ありがとうございます!!!コメントや評価、本当に励みになるので嬉しいです!!! (2023年1月8日 16時) (レス) id: 611339ddb1 (このIDを非表示/違反報告)
モモ - めっちゃ好みの度タイプです!更新がんばってください!めちゃ楽しみにしています!! (2023年1月7日 17時) (レス) @page34 id: 759a61aa3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もか@テスト死にそう | 作成日時:2022年4月28日 23時