29話 ページ30
「…なぁ、もしもの話なんだけどな」
「? うん」
「もし、相手に心配をかけて、それで、心配してもらったことに対して、自分が勝手に傷付いて相手を困らせて、そんなとき仁花なら何て言う?」
ドリンク作りの手を止めずに聞くと、仁花は大きな目をぱちくりとさせた。
少し考えてから口を開く。
「…う〜ん、じゃあ、前提として聞くけど、『傷ついた』って事は、Aちゃんは、心配されて悲しかったの?」
「違う! その…こういう言い方はあれだが、嬉しかった。
ただ、問題点?とか、自分が見て見ぬ振りをしてきたものを一気に指摘されて、いっぱいいっぱいになって、それで…、謝りたくて。
でも、私だと、なんて言っていいのか…。思いついても、それが正解なのかも分からなくて…」
「…ちゃんと、その人と向き合おうとしてるんだね」
「?悪い。何か言ったか?」
ぽそりと呟かれた言葉を上手く聞き取れず聞き返すと、あわあわとしながら返される。
「あ、ううん!気にしないで!…ちょっと、嬉しくなっちゃって。Aちゃん、変わってきたなって!影山君と付き合いだしてから」
「は?」
「え?」
その言葉に思考が止まった。
なんでとびお?
こいつ、またなんか勝手に思い込んでるだろ。
しかし、なんでとびおと…。
少し考えてポンと手を打った。
心当たりしか無かった。いや、うん、仁花は悪くないな。
「仁花、お前あいつの顔しっかり見た事ないだろ。結論から言うと、あいつは違うぞ?」
「確かに。まだちょっと怖くて、ちゃんと見れて無いかもです…。でも、あんなに親しそうだったから、てっきり…」
「あいつは親戚だよ。はとこなんだ。私の恋人は蛍…変人コンビが言ってたメガネノッポだ」
ひゅっと喉を鳴らす仁花。
若干頬を引き攣らせながら、たどたどしく言葉紡いだ。
「あの…そのメガネノッポさんって…優しさが欠片もなく、捻くれ者で鬼畜っていう、あのメガネノッポさん?
…Aちゃん、大丈夫?」
「えっと、そこまで酷くないぞ?
多分、あいつらに極端なだけで、私には優しいし。仁花も優しくしてもらえると思う。悪いな、心配かけて」
そこまで言うと、仁花はほっと胸を撫で下ろした。
その後に、ゆっくり続ける。
「私は、そういう時は謝るんじゃなくて、『ありがとう』って言われたほうが嬉しいな。…きっと月島君も。はい、Aちゃんの分のドリンク。仲直りしておいで」
「あぁ。ありがとう」
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まみこ(プロフ) - さくにょさん» まじでそれな……。パスワード制にもう一度して、知りたい人に「メッセージ」として送ればいいんじゃないかな……?そうすれば荒らし減りそう。 (2023年2月25日 16時) (レス) id: 2e6caf5e65 (このIDを非表示/違反報告)
もか@無気力(プロフ) - さくにょさん» ありがとう!!!コメントめっちゃ嬉しい…!!!さくにょちゃんも頑張って!!! (2023年1月29日 15時) (レス) id: 611339ddb1 (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - なんでこんな心情描写も仕草も全てが綺麗に描写された作品が伸びないのか・・。もかお姉ちゃん!!応援してるよ! (2023年1月29日 15時) (レス) id: b15bd042db (このIDを非表示/違反報告)
もか@無気力(プロフ) - モモさん» ありがとうございます!!!コメントや評価、本当に励みになるので嬉しいです!!! (2023年1月8日 16時) (レス) id: 611339ddb1 (このIDを非表示/違反報告)
モモ - めっちゃ好みの度タイプです!更新がんばってください!めちゃ楽しみにしています!! (2023年1月7日 17時) (レス) @page34 id: 759a61aa3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もか@テスト死にそう | 作成日時:2022年4月28日 23時